狭霧 (駆逐艦)

狭霧（さぎり）について

狭霧は、大日本帝国海軍が運用した吹雪型駆逐艦の一隻です。この艦は、その短い生涯の中で、数々の作戦に参加し、太平洋戦争初期にその姿を消しました。

艦の概要

狭霧は、吹雪型駆逐艦の16番艦として、浦賀船渠株式会社で建造されました。この艦は、霧級駆逐艦の一隻でもあり、1931年1月に竣工しました。竣工後、第8駆逐隊に所属し、その後、第10駆逐隊に編入されました。第10駆逐隊では、他の吹雪型駆逐艦と共に活動し、日中戦争（支那事変）にも参加しました。その後、第20駆逐隊に所属し、中国大陸沿岸での作戦に従事しました。

太平洋戦争開戦時には、第20駆逐隊の一員として南方作戦に参加。マレー沖海戦では、重巡洋艦「鳥海」の直衛艦として行動しました。しかし、1941年12月24日、ボルネオ島攻略作戦中にオランダ海軍の潜水艦の雷撃を受け、クチン沖で沈没しました。

艦歴

建造

1928年11月23日、「狭霧」の艦名が与えられ、吹雪型駆逐艦として類別されました。1929年3月28日に起工し、同年12月23日に進水しました。竣工は1931年1月31日でした。初代艦長には、艤装員長であった坂野民部中佐が就任し、航海長には井上良雄大尉、水雷長には田中正雄大尉、砲術長には鈴木末七大尉、機関長には堀江茂機関大尉がそれぞれ任命されました。

第8駆逐隊

竣工と同時に第8駆逐隊に編入され、他の吹雪型駆逐艦と共に活動しました。1931年11月には、昭和天皇が乗艦する戦艦「榛名」を護衛し、九州への行幸を支援しました。その後、同年12月1日に第8駆逐隊から除籍されました。

第10駆逐隊

1932年5月19日に新編された第10駆逐隊に編入され、1932年11月30日には、吹雪型駆逐艦「暁」が編入され、定数3隻となりました。1933年8月には、南洋方面での行動も行っています。1934年6月には、連合艦隊演習中に第二水雷戦隊所属の駆逐艦同士の衝突事故が発生し、駆逐艦「深雪」が沈没するという事故も発生しています。1935年には、有明湾で多重衝突事故に巻き込まれ、小破しています。その後、予備艦となり、1936年には南洋方面での行動を再度行っています。1937年7月には、第四水雷戦隊が編成され、日中戦争（支那事変）における輸送船団護衛や封鎖任務等に従事しました。1938年4月には、第四水雷戦隊は解隊され、第10駆逐隊は予備駆逐隊となりました。

第20駆逐隊

1940年8月1日、第20駆逐隊に編入され、中国大陸沿岸での活動を行いました。同年9月には、北部仏印進駐に伴う陸軍輸送船団の護衛任務に従事しました。太平洋戦争開戦時には、第20駆逐隊に所属し、マレー作戦に参加。マレー沖海戦では重巡洋艦「鳥海」の直衛艦として行動しました。

沈没

1941年12月、ボルネオ島攻略作戦に参加中、12月24日にオランダ海軍潜水艦「K XVI」の雷撃を受け、クチン沖で沈没しました。この時、多くの乗員が戦死しました。その後、1942年1月15日に除籍されました。

歴代艦長

狭霧の歴代艦長は以下の通りです。

艤装員長
坂野民部 中佐：1930年8月1日 - 1931年1月31日
艦長
坂野民部 中佐：1931年1月31日 - 1931年12月1日
清水他喜雄 中佐：1931年12月1日 - 1934年11月15日
西岡茂泰 中佐：1934年11月15日 - 1935年10月31日
荘司喜一郎 少佐：1935年10月31日 - 1936年12月1日
則満宰次 中佐：1936年12月1日 - 1937年12月1日
山本皓 少佐：1937年12月1日 - 1938年6月25日 ※6月29日病没
小山猛夫 中佐：1938年6月25日 - 1938年7月9日
坪郷悦馬 少佐：1938年7月9日 - 1938年10月15日
磯久研磨 少佐：1938年10月15日 - 1939年11月15日
白浜政七 中佐：1939年11月15日 - 1940年11月15日
杉岡幸七 中佐：1940年11月15日 - 1942年1月15日

関連事項

水雷戦隊
南方作戦
マレー作戦
小沢治三郎
栗田健男
第三図南丸

まとめ

狭霧は、その短い艦歴の中で、数々の作戦に参加しました。日中戦争から太平洋戦争初期まで、この艦は様々な役割を担い、多くの将兵がその任務に尽力しました。しかし、太平洋戦争初期にオランダ潜水艦の雷撃によって沈没し、その短い生涯を終えました。狭霧の歴史は、日本海軍の駆逐艦の活動を語る上で重要な一例であり、その活躍と悲劇は、後世に語り継がれるべきものです。

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