猪名部神社

猪名部神社について

猪名部神社（いなべじんじゃ）は、三重県員弁郡東員町に鎮座する歴史深い神社です。その創建は不明ですが、貞観元年（859年）や貞観8年（867年）に神階が与えられ、貞観15年（873年）には重要な記録にも登場しています。この神社は、氏神として地域の人々から信仰され続けています。

由緒と歴史背景

猪名部神社は、古来から多くの祭礼が行われてきました。特に貞観15年には、掌侍の春澄朝臣洽子が旅費として奉納した稲の記録が『三代実録』に載っており、これによりその後の祭儀も9日と定められたと言われています。さらに、延喜5年（905年）には式内社としても認められました。

この神社の由緒に関連し、春澄高子と彼女の家族の功績が注目されます。彼女は古代の朝廷で複数の天皇に仕えた重要な人物であり、特に宇多天皇からの信任が厚かったことで知られています。高子が奉納したのは父の死後3年ほど経ってからであり、重要な繋がりを示しています。

猪名部氏の伝承

猪名部氏の起源についてはさまざまな説があります。『日本書紀』によると、猪名部の祖は新羅の工匠たちから出たとされていますが、他の記録では祭神伊香我色男命が祖神とされています。これに対して社伝では、猪名部氏は兵庫県の猪名川から移住してきたという語りも存在します。このように、猪名部氏の出自には多くの考察があり、古代日本の文化との関わりが見て取れます。

例大祭と祭事

猪名部神社では、毎年4月の第1週末に大社祭が行われます。この祭りは長い歴史を持ちながらも、地域の人々にとって特別な意味を持つイベントとして定着しています。また、上げ馬神事もこの神社の重要な神事の一つで、地域の若者たちが馬を駆り、高さ2.5mの土塁を駆け上がるという伝統があります。

この神事の源は1192年にまで遡り、大木城主が伝えた騎射による士気向上を目的としていました。近年、この神事に関しては動物愛護の観点から批判が起こることもありますが、その伝統は今も受け継がれています。2023年からは新型コロナウイルスの影響もあり、特別な形での開催に変更されました。

アクセスと周辺情報

猪名部神社へのアクセスは、東名阪自動車道の桑名ICから国道421号を利用して約15分で到着できます。また、公共交通機関では三岐鉄道北勢線の東員駅や三岐線の北勢中央公園口駅からのアクセスもあります。周辺には美しい自然が広がり、訪れる人々に癒しをもたらしています。

結びに

猪名部神社は、その歴史的背景や地域における役割を考えると非常に興味深い存在です。古代の文化や伝統が色濃く残るこの神社を訪れることで、より深く日本の歴史に触れることができるでしょう。ますます多くの人々に愛されるよう、今後もその役割を果たし続けていくことを期待しています。

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