猿投神社

猿投神社について

猿投神社（さなげじんじゃ）は、愛知県豊田市に位置する歴史ある神社で、三河国の三宮として知られています。式内社であり、かつては県社に格付けされていた猿投神社は、猿投山の麓という自然豊かな場所に鎮座しています。

祭神

猿投神社の主祭神は大碓命（おおうすのみこと）で、彼の父である景行天皇や祖父の垂仁天皇も配祀されています。興味深いことに、大碓命が主祭神に崇められるようになったのは近世以降であり、その以前は猿田彦命や吉備武彦、その他多くの神々が祀られていました。このように、猿投神社は多様な神々を受け入れながら発展してきた神社です。

歴史

猿投神社の創建には深い歴史的背景があります。『日本書紀』には、大碓命が景行天皇の命令で東征を行うも、恐れをなして逃げ、美濃国に封じられたというエピソードが記されています。また、宝亀10年（779年）の文献では、大碓命が猿投山中で42歳で亡くなり、山上に葬られたとされています。社伝によれば、仲哀天皇元年に勅願により現在の地に創建されたとされます。

国史で最初に猿投神社が記録されたのは仁寿元年（851年）のことで、この際には従五位下の神階が授けられています。後に正一位にまで昇格し、長い間地域の信仰を集めてきました。16世紀には松平清康の攻撃により社殿が破壊されましたが、その後、地元の有力者たちによって再建されました。明治時代には近代社格制度において県社に昇格し、いくつかの社と合祀されたことも注目に値します。

信仰と祭典

猿投神社では、古くから「左鎌」を奉納して祈願する慣習があります。この習慣は由来が不詳ですが、大碓命が双子であり、一方が左利きであるという伝承から来ているとされています。現在では、この左鎌を模した板が奉納されています。また、毎年10月には地元の無形民俗文化財である棒の手が披露される祭典が行われ、多くの人々が訪れます。

境内

猿投神社の境内は、猿投山の自然が豊かで、参拝者に静穏なひと時を提供します。本社を中心に、東宮や西宮などが配置されており、それぞれ独自の信仰の場とされています。

摂末社

神社の境内には複数の摂末社があります。塞神社、広沢天神社、御鍬社、洲原社、御嶽社、建速神社、秋葉社、厳島社などがあり、地域のさらなる信仰を支えています。

文化財

猿投神社は重要文化財も有しており、太刀や古文書、鎧など貴重な物品が多く保管されています。これらの文化財は、神社の歴史と地域の文化を物語る大切な遺産です。

現地情報

猿投神社は愛知県豊田市猿投町大城5に位置し、アクセスも良好です。名鉄三河線の豊田市駅または新豊田駅から、とよたおいでんバスを利用し「猿投神社前」で下車することができます。豊かな自然と共に、歴史的な価値を持つ猿投神社への訪問は多くの人々にとって貴重な体験となることでしょう。

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