玉ノ富士茂

玉ノ富士茂の生涯と功績

概要

玉ノ富士茂（たまのふじ しげる、1949年11月24日 - 2021年6月21日）は、栃木県那須郡小川町に生まれ、片男波部屋に所属した元大相撲力士です。彼の本名は大野茂（旧姓は阿久津）で、高身長185cm、体重127kgと恵まれた体格を持つ選手でした。得意技には右四つ、寄り、上手投げ、割り出しがありました。

玉ノ富士は、1978年に東関脇にまで昇進しましたが、引退後は片男波部屋の師匠として多くの後進を育て、また日本相撲協会の理事としても活躍しました。彼の人生は相撲界に深く根ざし、さまざまな経験を経て成長していく姿が印象的です。

来歴

高校時代には、バスケットボールの選手として活躍していた玉ノ富士は、卒業することなく片男波部屋に入門し、1967年5月場所で初土俵を踏みました。序ノ口で好成績を収めたものの、相撲が想像以上に厳しい世界であることに気づき、短期間で部屋を脱走しました。その後、陸上自衛隊に志願し、満期までの期間を軍人として過ごしました。

数多くのアルバイトを経て、かつての師匠である12代片男波の許可を得て片男波部屋に再入門しました。1970年9月場所に復帰し、再び力士としての道を歩み始めました。彼は1973年11月場所で十両に昇進し、1974年9月場所に幕内入りを果たします。

玉ノ富士は、1978年には好成績を挙げ、特に関脇としての地位を確立しました。この頃、彼は「大関より強い関脇」と称されるほどの力量を見せましたが、戦う相手には横綱北の湖がいました。19連敗を喫していた彼でしたが、1979年にようやく初勝利を収め、その記録は記憶に残る一戦となりました。

現役引退とその後

1981年に現役を引退した玉ノ富士は、年寄・湊川を襲名し、次代の力士たちの指導にあたりました。1987年には片男波部屋を継承し、多くの弟子を育てることとなります。玉ノ富士は「相撲界に限らず、どの社会でも頑張り続ければ結果が得られる」との信念に基づいて、弟子たちに教え育てていきました。

しかし、彼の健康状態は時間と共に悪化し、糖尿病に悩まされました。2000年には片足の切断手術を受けることになり、体力が衰えた中でも2010年には弟子に部屋を譲り、年寄・楯山として活動を続けました。

2012年には理事に当選し、九州場所担当部長として相撲界での貢献を続けました。2014年に停年を迎えた際には、再雇用制度の第1号として再雇用されましたが、体調が優れなかったため、2019年に再び退職しました。

最期

2021年6月21日、玉ノ富士は70歳で肝臓がんにより亡くなりました。葬儀は家族葬として執り行われ、その生涯を静かに閉じました。相撲界に残した功績と教えは、今も多くの人に受け継がれています。彼の挑戦と成長の物語は、多くの相撲ファンにとって忘れがたいものです。

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