玉力道栄来

玉力道栄来（たまりきどう ひでき）

玉力道栄来は、1974年4月19日に東京都江戸川区で生まれ、片男波部屋に所属する元大相撲力士である。彼の本名は安本栄来で、韓国名は趙榮來（チョ・ヨンレ）である。彼は在日韓国人3世であり、韓国籍を持っていた時期には大邱広域市に本籍があった。身長184cm、体重139kgという体格を持ち、得意技には諸差し、右四つ、寄り、上手投げがあり、時には掛け投げも見せていた。相撲界では最高位を東前頭8枚目にまで上昇させた彼は、現在は年寄・10代松ヶ根として後進の育成に尽力している。

来歴

玉力道は建設会社の次男として育ち、明治大学付属中野中学校・高等学校を経て明治大学商学部に進学した。大学時代には相撲部に所属し、仲間たちと共に全国大会で活躍した。特に1996年の全日本相撲選手権では3位に入賞し、幕下付出の基準を満たす成績を残した。大学卒業後、彼は先人の名を取った四股名「玉力道栄来」を名乗り、1997年3月場所から片男波部屋に入門、初土俵を踏んだ。

1999年9月には玉ノ洋と共に新十両に昇進し、在日本大韓民国民団からも祝福を受けるなど、彼の昇進は話題となった。彼は一度は幕下に陥落するも、短期間で十両に戻り、2001年1月には新入幕を果たす。以後、十両と幕内を行き来しながら相撲を続け、2003年には調子の良い時期を迎えたが、左膝の怪我で苦しむことになる。

膝の怪我は彼の相撲人生に大きな影響を与え、その復帰には時間を要した。怪我から回復した後は、2006年に東幕下5枚目まで番付を戻し、再び十両に復帰した。しかし、膝の再負傷が相次ぎ、成績が低迷。2009年に日本国籍を取得した後、2010年に現役を引退した。

引退後は、年寄名「荒磯」を襲名し、2013年6月に名跡を二所ノ関に変更、さらに2014年には松ヶ根部屋に移籍した。2021年12月には放駒部屋に所属を変更し、現在に至る。

新型コロナウイルス感染と処分

2020年8月に新型コロナウイルスの陽性が確認され、一時入院を余儀なくされた。彼の入院中に、相撲協会は濃厚接触者がいなかったことを確認し、無事に退院した。しかしその後、ガイドライン違反により9月場所中は自宅謹慎処分を受けることになる。青沼理事長の元、調査が行われ、最終的にはけん責処分が科された。

成績

通算成績は376勝354敗、幕内戦績は65勝93敗で、現役在位78場所、幕内在位11場所の数字を残した。彼は十両での優勝経験もあり、特に2002年9月場所での優勝が印象深い。相撲界で大きな足跡を残した玉力道栄来は、若手力士たちへの指導を行う一方で、自身の経験を通じて相撲界への貢献を続けている。

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