玉川宮

玉川宮とは

玉川宮（たまがわのみや）は、室町時代に存在した日本の皇室の宮家の一つです。この宮家は、南朝系の世襲宮家として知られ、一般的には長慶天皇の皇子をその家祖と考えられています。玉川宮は、南北朝の合一後も皇位復権を目指すうち、小倉宮家とは異なり、幕府体制に比較的従順な態度を取り続けました。

宮号の由来

玉川宮という名称は、長慶天皇が紀伊国の玉川で晩年を過ごしたという伝説に由来していると言われていますが、この地と宮家の関係は明確ではありません。さらに、この宮家に関する歴史的な資料は限られており、系譜については不明瞭な部分も多く残っています。

系図と動向

一般的に、梵勝と梵仲は玉川宮の孫にあたるとされますが、父親に関する情報は不明です。そのため、これらの子孫の位置づけや玉川宮の動向が一代によるものか、あるいは二代にわたるものかもはっきりとした判断ができません。

最初の記録は、応永21年（1414年）の足利義満七回忌の際に護聖院宮とともに供物を捧げた記録です。その後、正長元年（1428年）には、宮家の所領と思われる田中荘や深瀬郷についての訴訟を巡る文書が残されています。

また、永享3年（1431年）には宮家の娘が将軍足利義教の侍女として仕官します。これに続き、同年11月には護聖院宮の使者を通じて後小松上皇の追悼を行っています。後小松上皇が死去したあとも、和歌を嗜み、多くの文化人たちとの交流も重ねていました。永享5年（1433年）には天皇から詩の賜りがあったり、法楽のための歌詠が命じられたりと、公家社会に順応しての活動が見て取れます。

政治的背景と影響

ただし、永享6年（1434年）には将軍義教によって南朝の根絶が設定され、この影響が玉川宮にも及んだ可能性が高いと考えられます。当時の政情には、鎌倉公方の反抗や大和永享の乱といった動乱があり、幕府は南朝の皇胤の存在を脅威視していました。その結果、さらに資料が不足している状況で、永享9年（1437年）に義教と対立していた大覚寺義昭が逃げた際、玉川宮の候補者も同行したという記録が存在します。

その後の消息

その後、玉川宮は因幡へと移って行ったとされますが、その詳細は不明です。子孫としては、「玉川宮御末孫」の梵勝と梵仲の兄弟が存在しています。彼らは将軍の猶子として相国寺での生活を強いられ、1647年に行方不明になったとも伝えられています。こうした状況から、確実に言えるのは、長慶天皇の子孫が経験した歴史の一部として、玉川宮が存在していたことです。

参考文献

• - 菅政友「南山皇胤譜」（国書刊行会、1907年）
• - 村田正志「伝後醍醐天皇御木像をめぐる史実」（思文閣出版、1983年）
• - 森茂暁『闇の歴史、後南朝―後醍醐流の抵抗と終焉』（角川書店、1997年）

関連項目

• - 後南朝
• - 小倉宮
• - 護聖院宮

このように、玉川宮は日本の歴史において重要な役割を果たした宮家であり、その活動と影響は現代の私たちに多くの教訓を与えてくれます。

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