玉碇佐太郎

玉碇佐太郎（たまいかり さたろう）は、1901年3月29日に和歌山県海南市で生まれ、1975年10月25日に亡くなった大相撲力士です。本名は山村佐太郎（やまむら さたろう）といいました。出羽海部屋に所属し、最高位は前頭筆頭でした。身長170cm、体重105kgと、当時としては比較的小柄ながら、その押し相撲の強さで知られていました。

1920年1月場所で初土俵を踏み、1925年1月には十両に昇進しました。一時幕下に陥落したものの、1928年3月には見事新入幕を果たしました。特に横綱・宮城山福松には非常に強く、生涯で3個の金星を獲得しています。これは、当時の相撲界では特筆すべき偉業でした。

しかし、1932年1月に発生した春秋園事件により、力士会を脱退し、相撲界を一時離れることになります。その後、1937年末の関西協会の解散まで現役を続けましたが、大相撲への復帰は叶いませんでした。

玉碇の相撲の特徴は、徹底した押し相撲でした。その稽古熱心さは並々ならぬもので、指が変形するほど稽古に打ち込んだと言われています。四つ相撲になったのは生涯でわずか二番であり、相手に打っ棄りを食らったことは一度もなかったそうです。その徹底した押し相撲のスタイルと、粘り強い相撲は、多くの相撲ファンを魅了しました。

「相撲の神様」とまで呼ばれた名力士、幡瀬川が玉碇の相撲を絶賛していたという逸話も残っています。

主な成績としては、通算成績は136勝119敗1分10休で、勝率は.533。幕内成績は76勝88敗1分で、勝率は.463でした。現役在位は33場所（脱退した1932年1月場所を含む）、幕内在位は16場所（脱退した1932年1月場所を含む）でした。金星は3個（すべて宮城山から）獲得しています。

場所別の成績の詳細については、資料をご参照ください。

玉碇佐太郎は、その独特の押し相撲スタイルと、不屈の精神で、多くの人々に記憶される名力士でした。大相撲の歴史に名を刻んだ、忘れられない力士の一人と言えるでしょう。

関連項目

大相撲力士一覧

参考文献

大相撲写真画報「ふるさとの名力士」（日本スポーツ出版社）

もう一度検索