王友

王友（おう ゆう）は、生年不詳ながら明代の初期に活躍した軍人であり、その生涯は波乱に満ちていました。本貫は荊州にあり、父の跡を継いで燕山護衛百戸という役職に就きました。

靖難の変と初期の活躍

1399年、建文帝に対して燕王朱棣が兵を挙げた靖難の変が勃発すると、王友は朱棣の軍勢に加わりました。1402年には、朱棣と共に南京に入城し、その功績から侯爵に相当する評価を受けましたが、彼の奔放な行動が問題視され、最終的には都指揮僉事に任じられることとなりました。翌1403年5月には、清遠伯に封じられ、1000石の禄を賜りました。

倭寇討伐と失態

1404年、王友は総兵官として水軍を率い、沿岸部で活動する倭寇の討伐に当たりました。しかし、彼は期待されたほどの成果を上げることができず、永楽帝（朱棣）から厳しく叱責されることとなりました。その後、倭寇を撃破し、永楽帝から労をねぎらわれ、南京に召還されました。

交趾遠征での功績と昇進

1406年、王友は交趾への遠征に参加し、指揮官の柳琮と協力して籌江柵を攻略、さらに困枚山や普頼山の諸山を制圧し、37,000人以上を討ち取るという大きな戦果を上げました。この功績により、1408年7月には清遠侯に進封され、500石の禄が加増され、世襲の権利も与えられました。1409年には再び交趾に遠征し、副総兵として活躍しました。

漠北遠征での失態と没落

1410年、王友は永楽帝の第一次漠北遠征に従軍し、中軍を監督する役目を担いました。永楽帝は、北元の知院である失乃干が降伏を望んだため、王友に兵を率いて先行させ、敵と遭遇した際には会戦して殲滅するように命じました。しかし、王友は敵との接触を避け、遠回りをして応昌に入ってしまい、その結果、軍の食料が不足し、多数の死者を出す事態となりました。この失態に永楽帝は激怒し、王友の軍権を剥奪して張輔に預けました。永楽帝が北京に戻った後、群臣に王友の罪を議論させましたが、最終的に王友は赦免されました。しかし、1414年、王友の妾が王友夫婦の誹謗を密告し、その証拠が発見されたため、王友は爵位を剥奪され、その後間もなく亡くなりました。

死後の名誉回復

1424年、洪熙帝が即位すると、王友の子である王順が指揮僉事に任じられました。これは、王友の功績が一部では認められていたことを示唆しています。

王友は、その軍事的な才能と功績にも関わらず、自身の行動が原因で爵位を剥奪されるという、波乱に満ちた生涯を送りました。彼の物語は、明代初期の軍人の栄光と挫折、そしてその時代における社会的な側面を垣間見せてくれます。

もう一度検索