王子帯

王子帯（おうじたい）は、紀元前672年から紀元前635年4月にかけて生きた、周王朝の人物です。甘の初代君主であり、姓は姫、名は帯。叔帯、大叔帯、大叔とも呼ばれます。『史記』十二諸侯年表には、「恵王五年（紀元前672年）、恵后が叔帯を生んだ」と記録されています。彼は食邑として甘（現在の河南省新郷市原陽県）を与えられ、死後、昭の諡号を贈られ、甘昭公として知られています。

生涯

王子帯は、周の恵王と恵后陳嬀の間に生まれました。恵王は王子帯を非常に寵愛し、太子に立てようと考えていましたが、その前に恵王が亡くなり、周王室は不安定な状態に陥りました。

紀元前655年、覇者であった斉の桓公が首止の会盟を開催しました。この会盟には魯の僖公、宋の桓公、陳の宣公、衛の文公、鄭の文公、許の僖公、曹の昭公が参加しました。諸侯は会盟中に周の太子である鄭（後の襄王）と会見し、太子を尊重することで周王室の安定を図りました。しかし、恵王はこの状況に不満を持ち、鄭の文公に斉の桓公に反乱を起こすよう命じました。これがきっかけで、桓公率いる諸侯同盟軍と鄭の間で戦争が勃発しました。

紀元前653年冬、恵王が亡くなると、太子鄭（襄王）と王子帯の間で王位を巡る争いが起こりました。襄王は恵王の死を伏せ、斉に使いを送り桓公の支援を得て即位しました。

紀元前653年春、斉の桓公は洮の会盟を主催しました。この会盟には首止の会盟と同じ諸侯が参加し、襄王の王位を安定させることを確認し、その後恵王の喪に服すことを定めました。

紀元前649年夏、王子帯は揚邑、拒邑、泉邑、皋邑の戎人を集め、洛邑を攻めました。王子帯は王城に侵入し、東門を焼き払いましたが、秦の穆公と晋の恵公が戎を討伐し、周を救いました。戎は退却しました。

紀元前648年、襄王は王子帯を討伐し、王子帯は斉に亡命しました。

紀元前647年、斉の桓公は鹹の会盟を結び、会盟後、諸侯は軍を周畿に派遣しました。

紀元前638年、襄王は王子帯を京師に呼び戻しました。しかし、紀元前635年に周王室で王子帯の乱が発生し、晋の文公が出兵して王子帯を殺害、襄王を洛邑へ護送しました。

王子帯は、恵王の寵愛を受けながらも、王位を巡る争いに巻き込まれ、反乱を起こし、最終的には討伐されるという波乱に満ちた生涯を送りました。

脚注

『春秋左氏伝』に王子帯に関する記述があります。

参考文献

『春秋左氏伝』

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