王将 (1948年の映画)

映画『王将』について

映画『王将』は、1948年10月18日に公開された大映製作の日本映画です。上映時間は94分。北條秀司が1947年に発表した戯曲『王将』を原作とした初の映画化作品で、将棋棋士・坂田三吉の生涯をドラマチックに描いています。この作品は、昭和23年度（第3回）芸術祭賞映画部門を受賞するなど、高い評価を得ました。

制作背景

脚本は伊藤大輔が担当しました。伊藤は、映画公開前に雑誌『映画芸術』1948年5月号で自身の執筆態度や方針を示した『シナリオ・王将の解剖』を発表しています。当初、伊藤と阪東妻三郎のコンビで続編『続・王将』を制作する企画がありましたが、阪東の大映退社により中止となりました。その後、1952年には松竹で同じく伊藤・阪東による続編『王将一代』の企画が持ち上がりましたが、阪東の病気により実現しませんでした。最終的に、1955年に新東宝で『王将一代』が制作されました。

あらすじ

物語は明治39年、大阪を舞台に始まります。主人公の坂田三吉は、通天閣を望む天王寺の長屋で暮らすアマチュア将棋指しです。眼病を患いながらも将棋に没頭し、家業の草履作りも疎かにするほどでした。「天王寺の三やん」として知られる彼は、東京の棋士との対抗試合に出場しますが、関根七段との対局に敗れてしまいます。この敗北を機に、三吉はプロの将棋指しを目指すことを決意します。

妻の小春は、三吉の将棋への情熱に理解を示しつつも、生活苦から一度は家出を試みます。しかし、娘の玉江の一張羅を質に入れて将棋大会に出場しようとする三吉の姿を見て、絶望します。小春は子供たちと無理心中を図りますが、奇跡的に助かります。その後、三吉は将棋をやめることを誓いますが、小春の励ましによって、再び将棋の道に進むことを決意します。

眼科医の菊岡博士の協力で手術を成功させ、プロ棋士となった三吉は、その才能を開花させます。8年後、七段となった三吉は、因縁のライバルである関根八段と京都・南禅寺で対局し、奇手「二五銀」を放って勝利を収めます。しかし、娘の玉江は、三吉の指し手が苦し紛れだったことを見抜きます。

その後も三吉は関根と対戦を重ね、大正10年には名古屋で勝利を収めます。しかし、東京では関根を名人とする動きが強まります。三吉は、朝日新聞社の学芸部長から名人位を争うか、関西名人を名乗るかの選択を迫られます。三吉は「将棋盤と相談する」と言い、弟子と将棋盤に向き合った結果、自分が名人になるよりも関根が名人になることを望んでいることに気づきます。

東京での関根名人の祝賀会に現れた三吉は、関根を祝福し、自作の草履を贈ります。その直後、大阪から小春が危篤であるとの連絡が入り、三吉は小春と電話で話しますが、小春は息を引き取ります。小春の右手には、お守りとして持っていた王将の駒が握られていました。映画は、三吉が老いた新やんと共に、通天閣を眺めるシーンで幕を閉じます。

スタッフとキャスト

監督は伊藤大輔、脚本も伊藤大輔が担当しています。音楽は西悟郎、撮影は石本秀雄が務めました。

キャストは、坂田三吉を阪東妻三郎、妻の小春を水戸光子、娘の玉江を三條美紀が演じました。他にも、小杉勇、斎藤達雄、大友柳太郎、滝沢修など、豪華な俳優陣が名を連ねています。

実話との相違点

映画では、坂田三吉が礼儀を知らない人物として描かれていますが、実際には礼儀正しい人物でした。また、坂田夫婦が「みょうけんさん」を信仰していたというエピソードも、映画のために創作されたものです。実際の坂田夫婦は、柳谷観音を信仰していました。

妻の名前も映画では小春となっていますが、実際はコユウであり、また、映画では大正10年に亡くなっていますが、実際は昭和2年に亡くなっています。

外部リンク

映画に関する詳しい情報は、以下のサイトで確認できます。

王将 - KINENOTE
王将 - 映画.com
* 王将 - MOVIE WALKER PRESS

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