王恂 (元)

王恂の生涯と業績

王恂（おう じゅん）は、1235年から1281年にかけて活躍した元朝初期の著名な数学者である。彼の名前は敬甫とも言い、諡は文粛である。中山府唐県の出身の彼は、学問への情熱と天文、律、暦に関する深い知識を有することで知られている。

早年期と学問の探求

王恂は父の王良の影響を受け、早い段階から教育を受けた。父は金末に中山府掾に就任し、数百人を無実で投獄から解放して後に官職を退き、儒学に専心していた。王恂は3歳から文字に親しみ、6歳から本格的に学問を始め、13歳には「九数」を習得するという早熟な才能を持っていた。

1249年、劉秉忠が王恂の才能を見出し、彼は1253年にクビライに推薦され、六盤山での謁見を果たす。この際、彼は太子伴読に任命され、チンキム（後の皇帝）の教育を担当することとなる。王恂は、チンキムに対して「算数は六芸の一つであり、国家を定め民族を守るために重要である」と教え、数学の意義を説いた。

暦法の改訂と科学への貢献

王恂が活躍した時期には、大明暦が200年経過していたことから、計算上の誤差が生じており、その修正が求められていた。彼は許衡や郭守敬とともに、国内外の40余りの暦書を参考にしながら天文観測を重ね、遂に授時暦を完成させる。この業績はその後の暦法に大きな影響を及ぼし、彼の科学者としての名声を高めた。

晩年と死去

至元18年（1281年）、王恂は父の死去に伴い、家族のために服喪することを選び官職を辞した。しかし、その服喪の最中に病に倒れ、若くして亡くなることとなった。彼の清廉な性格は知られており、財を蓄えることがなかったため、朝廷は彼の葬儀に二千貫を支給し、また暦法改訂の功績を讃えて別途五千貫を遺族に下賜した。

評価と後世への影響

王恂の死後も彼の業績は高く評価され、延祐2年（1315年）には元朝から推忠守正功臣・光禄大夫・司徒・上柱国・定国公の称号を受け、その名は文粛として後世に残ることとなった。彼の数理に対する情熱と国家への貢献は、長い年月を経て現在でも語り継がれている。

参考文献

• - 『元史』巻164列伝51王恂伝
• - 『新元史』巻171列伝68王恂伝
• - 『国朝名臣事略』巻9太史王文粛公
• - 白尚恕『13世紀中国数学家王恂』 （『白尚恕文集』）

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