王懐慶

王懐慶：清末から民初の軍人の軌跡

王懐慶（おう かいけい）は、清末から民初にかけて活躍した著名な軍人です。彼は北洋系に属し、中華民国では北京政府、特に直隷派の一員として重要な役割を演じました。王の字は懋宣または懋軒です。

初期の活動と袁世凱のもとでの昇進

王懐慶は、元々は牧童として生活していましたが、その後天津武備学堂の第2期を卒業し、1892年（光緒22年）から聶士成の下で哨官として活動を始めました。彼の軍歴の中で特に注目されるのは、1900年（光緒26年）の義和団の乱における英勇な行動です。この騒乱の中、聶士成が戦死した際に王は聶の遺体を危険を冒して回収し、その後聶の故郷である安徽省に遺体を送り届けています。この行動は当時の指導者袁世凱によって高く評価され、王は袁の部下としての地位を得ました。

彼は1905年（光緒31年）に北洋常備軍騎兵第2協協統に任命され、翌年には東三省督署軍務処の会弁、そして1909年（宣統元年）には淮軍の統領に昇進しました。また、同年には通永鎮の総兵にも就任しています。1911年（宣統3年）には、王金銘や施従雲が起こした灤州起義に参加し、その後清軍に寝返るという複雑な立場を取ります。

民国政府での役割と直隷派への参加

王懐慶は1912年（民国元年）1月に灤州都督に推挙され、同年中には天津鎮総兵や密雲鎮守使、薊渝鎮守使などの重要なポジションを歴任します。1914年（民国3年）には冀南鎮守使としても知られ、袁世凱からは二等男に封ぜられました。彼のキャリアの中で、袁世凱の死後の1916年（民国5年）には直隷派に属するようになります。

その後、王は直隷軍務の幇弁や歩兵統領、陸軍第13師の師長として活躍し、1920年の安直戦争では京畿衛戍司令を勤めました。また、1922年の第1次奉直戦争では直隷派の勝利に貢献し、熱河都統に任命されましたが、京畿衛戍司令も兼任し続けました。

奉直戦争とその後の影響

1924年（民国13年）に起きた第2次奉直戦争では、王は討逆軍の総司令として李景林と連携しましたが、奉天派の軍に敗北し政界から退くこととなります。1926年には再び復権するものの、またも奉天派からの圧力を受け辞任に追い込まれました。

その後、王懐慶は軍政から引退し天津に住居を構えます。日中戦争が勃発した際、日本軍の支配下で京漢路治安軍総司令に任命されましたが、実際にはその任務を果たさなかったとされています。王は1953年に天津で病没し、享年は78歳でした。

参考文献

関する研究は、来新夏の『北洋軍閥史』や徐友春編の『民国人物大辞典 増訂版』など、多数の著作に基づいています。

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