王新福

王新福の生涯と渡航の経緯

王新福（おう しんぷく）は、渤海国の著名な使者であり、彼の生涯については詳細な記録が残されていないものの、重要な歴史的な役割を果たしました。彼は渤海で紫綬大夫という官位を持ち、日本では正三位に叙されるなど、その地位は非常に高かったことが伺えます。特に、彼は第6次渤海使の大使として、日本との外交関係を深める役割を担っていました。

渤海使としての来日

王新福が初めて日本の地を踏んだのは、天平宝字6年（762年）10月のことでした。この年、彼は正六位上の伊吉益麻呂と共に、総勢23名という大きな使節団を率いて日本に渡りました。使節団は、まず越前国加賀郡に到着し、必要な物資の供給を受ける準備を整えました。彼らはその後、閏12月に平城京に入京し、公式の活動を開始したのです。

天皇への拝賀

到着後、王新福は翌年の天平宝字7年（763年）1月1日に、他の文官と共に大極殿で天皇に対して拝賀をしました。これは日本の朝廷にとって非常に重要な儀式であり、王新福はその一翼を担ったことになります。拝賀の翌日には、渤海国の産物を正式に朝廷に貢納し、これによって彼の使節としての任務が果たされたことが示されました。

さらに、その後の叙位により、王新福は正三位を授与され、副使の李能本は正四位上、判官の楊懐珍は正五位上を得るなど、彼らの成果は大いに評価されました。贈答を通じて、渤海国と日本の間に強い結びつきが生まれ、淳仁天皇からの饗応を受けることができたのも、この外交関係の重要性を物語っています。

安史の乱とその影響

天皇からの饗応中、王新福は唐で起こっている安史の乱について言上しました。これによって、淳仁天皇は大宰府に遣唐使の沈惟岳らを帰国させず、引き続き大宰府に留まらせるよう命じました。この決定は、当時の外交状況に大きな影響を与えたとされています。

帰国の経緯

その後、王新福一行は立派に職務を全うした後、帰国の途に着くことになりますが、船舶の腐敗が懸念されました。このため、使者の中には渡海を果たせないことを恐れて国に留まる意向を示す者もいました。結果的には、新福は残りの者を伴い、船を修理してから出発することが決まりました。日本の船師として板振鎌束を迎え入れ、彼らは無事に渤海へと帰ることができたと見られています。

王新福とその使節団は、渤海と日本の間の重要な交流を促進し、歴史に名を刻んだ変革者として位置づけられます。彼の活躍は、両国の関係における大きな一歩となったと言えるでしょう。

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