秋里籬島

秋里籬島（あきさと りとう）

秋里籬島は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した読本作者、俳人であり、名所図会の編纂者として広く知られています。生没年は不詳ですが、安永から文政期にかけて精力的に活動しました。本姓は池田で、名は舜福、字を湘夕といい、籬島、秋里山人、籬島軒などの号を用いていました。

生涯と業績

京都に生まれた秋里籬島は、名所図会の分野でその才能を大きく開花させました。特に、安永9年（1780年）に刊行された『都名所図会』は、竹原春朝斎による挿絵とともに、大きな反響を呼びました。この成功を機に、彼は画工を連れて諸国を巡り、数十種類にも及ぶ名所図会を編纂しました。これらの図会は、当時の人々の旅への興味を刺激し、各地の文化や名所を広く知らしめる役割を果たしました。

また、秋里籬島は名所図会だけでなく、随筆や紀行文、読本も執筆しました。ごく稀に自ら挿絵を描くこともあったようです。文化2年（1805年）には、自画による地誌本『唐土名所談』を刊行し、その幅広い知識と才能を示しました。

秋里籬島の活動は、名所図会というジャンルを確立し、後世に大きな影響を与えました。彼の作品は、当時の風俗や文化を伝える貴重な資料として、今日でも高く評価されています。

主な著作

秋里籬島の著作は多岐にわたりますが、特に名所図会がよく知られています。以下に主な著作をまとめます。

名所図会

『都名所図会』（1780年）
『都花月名所』（1793年）
『和泉名所図会』（1796年）
『伊勢参宮名所図会』（1797年）
『東海道名所図会』（1797年）
『摂津名所図会』（1798年）
『都林泉名勝図会』（1799年）
『河内名所図会』（1801年）
『唐土名所談』（1805年）
『木曽路名所図会』（1814年）
『近江名所図会』（1815年）

建築、造園、作庭

『ももしき』（1812年）
『石組園生八重垣伝』（1827年）
『築山庭造伝』（後編）（1829年）

地図・図面

『京之水』（1841年）
『大日本道中早引細見図』（1830年）

文学

『俳翼』（1795年）
『秘傳千羽鶴折形』（1797年）
『絵本源平盛衰記』
『絵本保元平治図会』

これらの著作は、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できるものも多く、当時の様子を知る上で貴重な資料となっています。

まとめ

秋里籬島は、江戸時代を代表する文化人の一人であり、その業績は多岐にわたります。特に名所図会の分野においては、先駆者としてその名を刻んでいます。彼の作品は、当時の人々の生活や文化、美意識を今に伝える貴重な遺産であり、後世の私たちにとっても重要な学びの源泉となっています。

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