王滝川ダム

王滝川ダムの概要

王滝川ダムは、長野県木曽郡王滝村に設置されたダムで、木曽川水系の支流である王滝川に構築されています。関西電力株式会社が管理するこのダムは、水力発電のために重要な役割を果たしています。特に、出力68,600キロワットの御岳発電所の取水ダムとして機能しており、地域の電力供給の要となっています。

ダムの構造

王滝川ダムは、越流型重力式のコンクリートダムとして設計されています。具体的には、堤高が18.2メートル、堤頂の長さが80メートルにわたり、堤体積は1万153立方メートルです。また、洪水吐としては3つのラジアルゲートが設けられており、洪水時の水の管理が可能です。このダムが形成する調整池は、湛水面積が0.1平方キロメートル、総貯水量は589,200立方メートルで、満水位から20万9,400立方メートルの有効貯水量を持っています。

御岳発電所の特徴

王滝川ダムから取水する御岳発電所は、木曽町三岳に位置し、最大使用水量が34.34立方メートル毎秒で、有効落差は229メートルに達します。発電の特筆すべき点は、長い導水路を通じて落差を活かすことで、発電所までの距離は34.2キロメートルにも及びます。この導水路にはいくつかの取水点が設定されており、17地点で渓流から水を取り入れています。発電所は王滝川と西野川の合流点手前に位置しており、水圧鉄管が分岐している点も特徴です。

発電機の性能

発電所では3基の水車発電機が稼働しています。すべてが日立製作所によって製造され、立軸単輪単流渦巻フランシス水車が使用されています。各発電機は容量25,000キロボルトアンペアで、50ヘルツと60ヘルツの周波数に対応しています。

歴史的な背景

王滝川ダムの建設は、大正時代から昭和初期にかけて計画されました。1925年には水利権を獲得しましたが、実際の工事は1930年代まで進まず、他の電力プロジェクトが先行しました。関西電力は大同電力から発展し、1941年には発電所の建設準備が命じられ、1945年には1号機が運転を開始しました。しかし、当時の工事は厳しい状況下で行われ、中国人労働者による強制労働の悲劇的な歴史も伴います。戦後は工事が続き、1954年には出力が66,000キロワットに達しました。

更新工事と現在の状況

1992年度からは、老朽化した設備のリフレッシュ工事が進められ、2004年には御岳発電所においても更新工事が完了しました。この結果、発電所の出力は68,600キロワットに増強され、効率も向上しました。新たに開発された中間羽根付きのランナーが採用され、発電時の水車効率が改善されています。

周辺環境

王滝川ダムへは、国道19号を経由してアクセスでき、常盤ダムや牧尾ダムを巡りながら周囲の自然を楽しむことができます。周辺には慰霊碑もあり、歴史的な背景を考慮した観光地としての側面も持っています。ダムの上流には滝越集落が存在し、ここから三浦ダムに向かう道路が続いていますが、通行は制限されています。自然湖の存在や河川橋も周辺の魅力を高めており、訪れる人々にとって魅力的なスポットとなっています。

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