王異

王異 - 後漢末期の女傑

王異（おう い、生没年不詳）は、中国後漢時代末期に存在した勇敢な女性で、夫の趙昂と共に数々の戦いに身を投じました。彼女は涼州漢陽郡に生まれ、趙昂の妻として知られています。王異はその生涯において、家族を守るために数多くの試練に立ち向かいました。彼女の名は特に『三国志』において戦闘に加わった女性人物の一人として記されています。

貞婦としての選択

王異が西県で生活をしている最中、夫である趙昂が羌道県の令に就任しました。しかし、同じ郡の梁双の反乱により西県は襲撃を受け、趙昂の男子二人が殺害されるという悲劇に見舞われました。この状況で王異は、反乱者による乱暴に遭う前に自ら命を絶つ決意をしますが、娘の趙月を思うあまり自殺を思いとどまりました。彼女は「私が死ぬことで、あなたは誰に頼ればいいの？」と語り、汚物をまとって身を隠しました。結局、王異は恵まれて解放され、夫の元へ向かうことになりました。

王異は道中で娘に向かって、「正式な使者が来ない限り、婦人は部屋から出てはいけない」と語り、自らの貞操について悩みます。彼女は、自らの恥を一時的にでも避けることなく生き延びることを選択したのです。最終的には、自決を試みますが、運良く救助の手が差し伸べられ、命を救われました。

冀城の戦闘

建安年間に趙昂が参軍事に任命され、家族と共に冀県に移住すると、王異は戦争に巻き込まれることになります。建安18年、馬超が冀城を襲撃した際、王異は自ら戦士としての装備を整え、戦闘に参加しました。彼女は自分の装飾品や衣服を兵たちに分け与え、その士気を鼓舞しました。しかし、城内は8カ月の攻撃によって飢餓に苦しみ、刺史の韋康が降伏を提案することになります。

この提案に反する趙昂と楊阜の意見が聞き入れられなかったことから、王異は夫に自らの意見を述べます。「君主には忠義を持つ者がいて、非常時には独断が許される。救援が近づいている可能性もある。だから降伏するべきではない」と。王異の言葉は趙昂に再考を促し、彼は降伏を思い止まることができました。

影の功労者として

馬超が韋康の降伏を許し、その後裏切りによって彼を殺害した際、王異の存在はますます注目されました。馬超の妻である楊氏は王異に感心し、彼女の意見が反映されることになります。王異は自身が持つ知識をもとに、馬超の信頼を得ることに成功しました。後の戦いでも、王異は趙昂が立てた計画の成功に大きく寄与しました。

再び戦場へ

趙昂が馬超を討つ計画を立てた際、王異は人質となる娘・趙月をどうするか尋ねられます。彼女は「忠義を全うするためには、自分の首を失うことも厭わない」と述べ、母としての愛と妻としての忠義を表明しました。この言葉は趙昂の意思を固め、彼は馬超を冀城から追い出すことに成功しました。

後に馬超の攻撃が再び強化される中、王異は夫と共に祁山に籠城し、猶予のない戦い続けます。王異の知恵と勇気は、家族を守るために数多の困難に立ち向かわせました。冻城の戦闘は彼女の存在を更に光らせるものとなり、その後の歴史に深く刻まれました。王異の人生は、忠誠と勇気の象徴として語り継がれています。

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