王鈍

王鈍（おう どん）は、生没年不詳の元末から明初の官僚であり、字は士魯と称しました。彼の出身地は開封府太康県です。

生涯

王鈍は、元朝の時代に科挙に合格し進士となりました。元末期には、猗氏県の長官である県尹を務めました。明朝の洪武帝の時代に入ると、南京に召し出され、礼部主事という役職に任命されました。その後、福建参政として地方に赴任し、その清廉潔白で慎み深い人柄で知られるようになりました。麓川の指導者である思倫発を説得する使者として派遣された際、思倫発から贈られた贈り物を受け取ろうとしませんでした。しかし、「贈り物を受け取らなければ、遠方から来た者の疑惑を招く恐れがある」という忠告を受け、やむなく贈り物を受け取りました。雲南に戻ると、王鈍は受け取った贈答品を全て官庫に運び入れました。1390年（洪武23年）には、浙江左布政使に転任しました。浙江で10年間務めた間、彼の名声は同時期に活躍した張紞と並び称されるほどでした。

1398年（洪武31年）12月、王鈍は建文帝に召し出され、戸部尚書に任命されました。しかし、1402年（建文4年）6月、燕王朱棣が南京に入城すると、王鈍は城壁を越えて逃走を試みましたが、巡回中の兵士に捕らえられてしまいました。その後、朱棣の命により戸部尚書の職に留め置かれましたが、7月には張紞と共に罷免されました。その後まもなく、王鈍は工部尚書の厳震直らと共に山西、河南、陝西、山東の各地域を巡視する任務を命じられ、さらに新昌伯唐雲と共に北平の屯田を管理する任務を任されました。1403年（永楽元年）6月には、三つの事柄について上奏を行い、その全てが永楽帝（朱棣）に受け入れられました。

1404年（永楽2年）4月、王鈍は浙江左布政使の職を辞し、故郷へと帰りました。故郷で鬱々とした日々を送り、その生涯を終えました。彼の著作として『野荘集』6巻が残されています。

王鈍には、王瀹という息子がいました。

参考文献

* 『明史』巻151 列伝第39

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