王雍

王雍の生涯と業績

王雍（おう よう、生年不詳 - 至元18年（1281年））は、13世紀に高麗の宗室として知られ、元の武将として名を馳せました。彼の家系は高麗国の顕宗の四男、平壌公王基に起源を持ち、その父は永寧公王綧です。王雍は信安侯に昇進し、子の王亹は司空として知られています。

高麗の歴史書『高麗史』では王綧の子供が六人とされる一方、元の歴史書『元史』では三人と記載されており、この二つの情報に対する考察は興味深いものです。特に、王雍は『元史』に記される王綧の長男、阿剌帖木児（アラテムル）と同一人物であると見なされることが一般的です。これにより、王雍の存在は単なる武将にとどまらず、彼の家庭環境や出自に対する研究が求められます。

王雍の父、王綧（1222年 - 1283年）は、モンゴルに人質として送られ、洪福源の保護を受けた後、元朝の宮廷で長い間仕えることになります。王綧の妻は趙王孛要合の娘であり、趙王の家系はオングト首長家で、代々カアンの皇女が嫁ぐ名門でした。これにより、王雍は高麗の壮大な武士階級の一員として不可欠な役割を果たしました。

彼の人物像がより鮮明になりますのは、至元7年（1270年）に高麗に日本侵攻のための屯田経略司が設置された際、王雍はその副経略司として任命されたことです。その後、至元8年（1271年）には金通精率いる三別抄の乱に元軍の一員として参加し、弟の光化侯王熙（闊闊帖木児）とともに三別抄を耽羅に追いやる功績を挙げました。

さらに至元11年（1274年）には昭勇大将軍へ昇進し、元寇の第一回においても重要な役割を果たしました。彼は元軍の指揮官、忽敦に従い、日本に対する侵攻作戦において着実な成果を上げました。至元15年（1278年）には、鎮国上将軍や安撫使、さらには高麗軍民総管という重要な地位を掌握し、戦場においてその実力を発揮しました。特に、日本侵攻軍副司令官としての役割は、彼の軍事的手腕を如実に描いています。

しかし、王雍の生涯は波乱に満ちています。至元18年（1281年）、再び日本に対する侵攻が計画される中で、彼は嵐の影響で乗船が沈没し、水死という悲劇に見舞われました。王雍は元軍の指揮下で活動していましたが、彼の父である洪福源は王綧とその妻子によって讒言されて処刑されたため、王一族は洪茶丘に恨みを買うこととなります。このように、家族間の力の争いも王雍の歴史に影を落としているのです。

王雍の業績や彼に関する資料は『元史』や『高麗史』に記されています。具体的には、『元史』巻166には王綧の伝記が収められ、『新元史』や『高麗史』でも彼の歴史的背景が詳述されています。これらの資料を通じて、彼の生涯や業績は多くの研究者により検討され続けています。

王雍の生涯は、13世紀の高麗と元の歴史の移り変わりを理解するための重要な要素であり、彼の戦績や家族の歴史に関する分析は、今後も多くの関心を寄せられることでしょう。

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