珍宝島

珍宝島（ちんぽうとう）

基本情報

珍宝島（中国語: 珍宝岛、拼音: zhēnbǎo dǎo）は、ウスリー川の中流域に位置する小島です。日本語では「ちんぽうとう」とも呼ばれ、ロシアではダマンスキー島（ロシア語: о́стров Дама́нский、ostrov Damanskiy）として知られています。この島の面積は0.74平方キロメートルで、川を挟んで中華人民共和国とロシア連邦の国境に位置しています。島の長さは約1,700メートル、幅は約500メートルです。ウスリー川の川幅は中華人民共和国側からのながさ200メートル、ロシア側からは300メートルとなっています。

環境とラムサール条約

珍宝島周辺の自然環境は非常に豊かで、淡水湿地、草原、低木林、森林が広がっています。この区域は、2011年にラムサール条約の登録地となり、重要な生態系が保護されています。湿地は多くの野生生物の生息地となっており、特に水鳥の観察地として知られています。

領有権の問題

1860年の北京条約により、ウスリー川は中華人民共和国とロシア連邦の国境として設定されました。しかし、中州の帰属について両国間で見解が異なり、長年にわたり両国は領有権を主張して対立していました。最終的に1991年に締結された中ソ国境協定によって、珍宝島は中華人民共和国の領土とされ、領土問題は解決を見ました。現在、この島は黒龍江省虎林市の一部として位置付けられています。

軍事衝突

珍宝島は1960年代に中ソ対立の舞台となりました。特に1969年3月に発生した「珍宝島事件」では、中華人民共和国の人民解放軍とソ連軍の間で武力衝突が起こりました。この事件は中ソ国境紛争の一環として重要な意味を持ちました。9月には、北ベトナムのホー・チ・ミン主席の葬儀の後、双方の指導者が北京で協議を行い、戦闘は終結しました。この衝突の期間中、100万人以上の兵士が動員されたとされています。興味深いことに、中華人民共和国ではこの事件の翌年に「珍宝島一周年」を記念した切手が発行され、国民の記憶に刻まれました。

映画

ロシアでは、珍宝島に関するドキュメンタリー映画『Остров Даманский. 1969 год』が制作されました。この映画は、紛争の当事者や両陣営のリーダーへのインタビューを基にし、歴史的な事件を再現しています。これにより、当時の状況や背景が視聴者に伝わるようになっています。

まとめ

珍宝島は、その独特な地理的位置と歴史的な背景から、中華人民共和国とロシア連邦の国境を象徴する場所となっています。領有権をめぐる葛藤や軍事的な衝突が、この地の歴史に深い影響を与えており、今なおこの地に関心を持つ人々が多くいます。

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