珍田捨巳

珍田捨巳（ちんだ すてみ）

珍田捨巳は1857年1月19日（安政3年12月24日）に日本の青森県弘前市で生まれた外交官であり、メソジスト派の牧師でもありました。彼は、侍従長、枢密顧問官、外務次官の役職を歴任し、その卓越した功績により、従一位勲一等に叙され、最終的には伯爵にまで昇進しました。

生涯の概略

珍田は弘前藩の下級藩士、珍田有孚の長男として誕生。藩校で学び、東奥義塾で本多庸一から教育を受けた後、1874年に東奥義塾の職員となりました。1877年にはアメリカに渡り、インディアナ州アスベリー大学で4年間研鑽を積んで帰国しました。当時のアメリカ事情や語学に関する知識を持つことは非常に重要で、彼はその貴重な人材となりました。

帰国後、彼は1882年に山中逸郎の娘であるいわと結婚し、外交官の道を歩むこととなります。大隈重信の後押しで1885年に外務省に入省し、歴代の大使館や領事館において重要な役割を果たしました。特に、1890年には在サンフランシスコ日本領事に就任し、日系人排斥運動が高まる中で、現地の問題に敏感に反応し、日本政府に報告を行って移民の安全を守るための活動を行いました。

外交官としてのキャリア

珍田は、1901年に外務総務長官に就任し、その後始めて改称された外務次官としても名を馳せました。日露戦争後の講和会議では、外務大臣の小村寿太郎を支え、ロシアとの交渉において重要なデータや訓令を提供し、交渉を成功に導く役割を果たしました。その功績によって、1907年には男爵に叙され、その後も外交の第一線で活躍しました。また、その年の日米紳士協約にも彼の貢献があったと考えられます。

第一次世界大戦後はパリ講和会議に駐英大使として参加し、その功績によって伯爵に叙されました。さらに、1921年には皇太子裕仁親王の欧州訪問に際し、供奉長として重要な役割を果たしました。訪欧後には皇太子の教育に関与するなど、明治・大正期の重要な政治的背景の中で尽力を続けました。

晩年と遺産

珍田は1926年に大正天皇の崩御を受けて皇后宮大夫に任命され、その3か月後には侍従長に就任します。彼は1929年に73歳で脳出血により亡くなるまで、皇室に仕え続けました。彼が母校である東奥義塾のチャプレン（牧師）を務めたこともあり、メソジスト派の牧師としての活動も忘れられない側面でしょう。

栄典

彼の業績は多くの栄典をもたらし、勲章や位階も数多く受けました。1886年から1929年にかけて積み重ねた栄典は、日本のみならず国際的にも評価されました。特に、ハワイ王国やフランス、イギリスなどからも勲章を授与され、多くの国との交流に寄与してきたことが示されています。

家族

珍田捨巳は、妻のいわとの間に一男二女をもうけました。彼の家族や後世への影響も重要な遺産として残っています。特に、彼の長女さだは外交官山中千之に嫁ぎ、外交官一家の一員として活躍しました。

珍田捨巳の生涯は、日本の外交史において重要な一ページを刻んでおり、その影響は今日に至るまで続いています。

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