現代ぷろだくしょん

株式会社現代ぷろだくしょんについて

株式会社現代ぷろだくしょんは、日本を拠点とする映画製作・配給会社です。独立系として、社会に強いメッセージを発信する作品を数多く制作しています。特に、社会問題や人々の生き様を深く掘り下げた作品が多く、教育機関や福祉関係者からも高い評価を得ています。

概要

現代ぷろだくしょんは、俳優集団を母体として発足しました。大手映画会社が製作を独占していた時代から、独自の路線で映画製作を続けてきた老舗です。五社協定が消滅した後も、その独立性を維持し、社会に対する問題提起をテーマとした作品を多く制作してきました。

上映形態も特徴的で、全国の映画館での公開に加え、大学や教育機関を通じて市民会館や小ホールなどで一日単位での上映が行われることも多いです。また、教育委員会や地方自治体が主催する上映会など、地域に根ざした形での上映も積極的に行っています。

少数ながら、アニメーション映画の企画・制作も手がけており、その活動は多岐に渡ります。

スタッフ

現代ぷろだくしょんの設立から現在まで、中心的な役割を果たしてきた人物を紹介します。

山田典吾（やまだ てんご 1916年5月28日 - 1998年5月14日）
現代ぷろだくしょんの創業者であり、初代代表取締役。プロデューサー、映画監督、脚本家として活躍しました。元東宝社員で、東宝砧撮影所の芸能部長を務めた後、独立して現代ぷろだくしょんを設立。アニメーション作品『キムの十字架』まで監督を務めました。
山田火砂子（やまだ ひさこ、本名・山田久子 1932年1月23日 - ）
現代ぷろだくしょんの現代表取締役。プロデューサー、映画監督、脚本家、女優として活躍しています。戦後、女性バンド「ウエスタン・ローズ」で活動後、舞台女優を経て現代ぷろだくしょんへ入社。先代取締役である山田典吾の妻であり、アニメーション作品『エンジェルがとんだ日』以降、プロデュースと監督を兼務しています。

沿革

現代ぷろだくしょんの歴史を年表形式でまとめました。

1951年（昭和26年）
山田典吾を代表取締役として、山村聰、森雅之、夏川静枝らを中心に俳優集団を旗揚げ。後に三國連太郎も参加し、現代ぷろだくしょんの基礎が築かれました。この年を会社創立としています。
1955年（昭和30年）
正木ひろしのベストセラー小説「裁判官―人の命は権力で奪えるものか」を原作とする映画『真昼の暗黒』の製作を山田典吾が立案。今井正監督、橋本忍脚本で映画化。冤罪事件を題材としたこの作品は、大きな反響を呼びました。
1963年（昭和38年）
山田典吾が監督として『日本海の歌』を制作。
1974年（昭和49年）
山田火砂子が『太陽の詩』から製作協力者として作品制作に参画。後にプロデューサーに昇格。「火砂子がプロデュース、典吾が監督」という製作体制が確立しました。
1996年（平成8年）
山田火砂子が監督としてアニメーション作品『エンジェルがとんだ日』を制作。
1998年（平成10年）
山田典吾が死去。以降、山田火砂子が監督も兼務する体制となりました。
2004年（平成16年）
山田火砂子が監督として実写作品『石井のおとうさんありがとう』を制作。

作風

現代ぷろだくしょんの作品は、社会に対する強いメッセージが込められているのが特徴です。初期は反戦や労働問題などをテーマにした作品が多く、近年は、代表を務める山田火砂子の関心から、障害者や孤児などの福祉をテーマにした作品が中心となっています。

これらの作品は、当事者団体や社会福祉法人、大学などからの支援を受けて制作されることが多く、福祉教育の教材としても活用されています。文部科学省や厚生労働省などの公的団体からも推薦を受けており、社会的な意義も認められています。

主な作品

現代ぷろだくしょんが制作した主な作品を紹介します。

実写映画

村八分
蟹工船
燃える上海
芸者秀駒
真昼の暗黒
夜の鼓
太陽を射るもの
日本海の歌
ベトナム平和への戦い
ハンザキ大明神・ゴロスケの歌
太陽の詩
はだしのゲン（実写版3部作）
春男の翔んだ空
茗荷村見聞記
裸の大将放浪記 ～山下清物語～
ユッコの贈り物 コスモスのように
もうひとつの少年期
白い町ヒロシマ
ママ、ごめんね ～アッコちゃんの日記～
死線を越えて 賀川豊彦物語
石井のおとうさんありがとう
筆子・その愛 -天使のピアノ-
大地の詩 -留岡幸助物語-
望郷の鐘
母 小林多喜二の母の物語
地の塩 山室軍平
一粒の麦 荻野吟子の生涯
われ弱ければ 矢嶋楫子伝
わたしのかあさん―天使の詩―

アニメーション

キムの十字架
エンジェルが飛んだ日
よっちゃんのビー玉
明日の希望


特に『裸の大将放浪記 ～山下清物語～』は、知的障害を持つ山下清の人生を丁寧に描いた作品として知られています。

脚注

参考文献として、村井淳志著『脚本家・橋本忍の世界』(集英社新書、2005年)があります。

外部リンク

現代ぷろだくしょん公式サイト

現代ぷろだくしょんは、社会派の作品を通じて、観客に深い感動と問いかけを与え続けています。その作品は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

もう一度検索