琉球銀行 (特殊銀行)

琉球銀行とは

琉球銀行（Bank of The Ryukyus）は、1948年、米軍占領下の琉球において設立された特殊銀行です。沖縄戦で県下の銀行が機能を失ったため、米軍は「沖縄中央銀行」を設立しましたが、戦後インフレ抑制と通貨統一のため、これらの銀行を統合し琉球銀行が誕生しました。

当初、琉球銀行は株式の過半数を米国民政府が保有し、通貨発行権や金融機関の監督権など、中央銀行的な役割を担っていました。アメリカの連邦準備制度やフィリピンの中央銀行をモデルにしたと言われています。しかし、琉球政府の発足とともに、これらの権限は徐々に縮小され、商業銀行としての性格を強めていきました。それでも、米国民政府や琉球政府の出納事務を取り扱う唯一の銀行として、沖縄の金融界において重要な役割を果たしました。

1972年の沖縄返還に際し、米国民政府は保有していた全株式を住民に売却。銀行法に基づく普通銀行「琉球銀行」として新たなスタートを切りました。

琉球銀行の歴史

1948年1月20日: 琉球銀行第1回理事会が開催され、役員が選出されました。
1948年5月1日: 琉球銀行が特殊銀行として発足。奄美銀行、宮古銀行、八重山銀行を吸収合併しました。
1948年5月4日: 米国軍政府布令第1号「琉球銀行の設立」が公布、遡及して発効しました。
1948年7月1日: 沖縄銀行（現在の沖縄銀行とは別の銀行）を吸収合併しました。
1950年4月10日: 琉球復興金融基金の受託者に指定されました。
1948年10月20日: 外国為替銀行に指定されました。
1951年5月15日: 機構改革を行い、局制を導入しました。
1951年7月13日: 金融機関の監督統制権限を移譲しました。
1952年4月1日: 琉球政府発足に伴い、政府の出納事務を行う銀行となりました。
1952年11月1日: アメリカ財務省より、米国政府公金受託機関に指定されました。
1953年12月25日: 奄美群島の日本復帰により、奄美地区の5支店を鹿児島銀行に譲渡。翌年1月には池畑総裁が退任しました。
1954年4月10日: 機構改革を行い、局制を廃止しました。
1958年9月16日: 通貨交換が実施され、法定通貨がB円からドルに変わりました。
1959年1月30日: アメリカ財務省資金の預託銀行に指定されました。
1959年12月31日: 復興金融基金業務を琉球開発金融公社に移譲しました。
1963年5月16日: 株主総会に筆頭株主としてキャラウェイ高等弁務官が出席。理事の解任や総裁の辞任など、混乱が起こりました。
1966年6月1日: 役員の名称変更が行われました。
1968年6月8日: 琉球銀行労働組合が結成されました。
1971年10月1日: 琉球信託から信託部門を引き継ぎました。
1971年10月9日: 復帰後の通貨交換に向け、通貨確認が一斉に行われました。
1972年1月14日: 商法に基づく株式会社となり、「取締役」制に移行しました。
1972年3月1日: 米国民政府保有の全株式が売り出されました。
1972年5月12日: 銀行法に基づく普通銀行に転換し、現在に至ります。

歴代幹部

歴代理事会長

初代：護得久朝章（1948年1月20日 - 1957年5月7日）
2代：富原守保（1957年5月7日 - 1963年5月20日）
3代：崎浜秀英（1963年5月20日 - 1972年1月14日）

歴代総裁

初代：池畑嶺里（1948年1月20日 - 1954年1月18日）
2代：富原守保（1954年1月18日 - 1963年5月20日）
* 3代：崎浜秀英（1963年5月20日 - 1972年1月14日）

まとめ

琉球銀行は、戦後の混乱期に、沖縄の金融を支える重要な役割を担いました。設立当初は中央銀行的な役割も果たしましたが、徐々に商業銀行としての性格を強め、沖縄の経済発展に大きく貢献しました。その歴史は、沖縄の戦後史と深く結びついており、多くの人々の生活を支えてきたと言えるでしょう。

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