琴奨菊和弘

琴奨菊 和弘

琴奨菊和弘（ことしょうぎく かずひろ）は、1984年に福岡県柳川市に生まれた元大相撲力士である。本名は菊次一弘（きくつぎかずひろ）で、身長180cm、体重は177kg。左四つを得意としており、がぶり寄りで相手を圧倒するスタイルが特徴的だ。愛称は「キク」で、好物には米やしゃぶしゃぶ、プリンがある。

幼少期と大相撲入りまで

琴奨菊は、建設会社経営の父のもとで育った三兄弟の末っ子として育つ。祖父に影響を受けて小学3年生から相撲を始め、小学時代には柔道にも挑戦するが、相手が女の子では全力を出せずにいた。気弱な性格を見かねた祖父は、彼を相撲へと誘い、相撲での英才教育が始まる。地元巡業で貴花田（後の横綱・貴乃花）と記念写真を撮ったことが、相撲を続ける大きな励みとなった。明徳義塾中学に進学し、全国中学校相撲選手権を制覇。高校では順調に成長し、大関舞台を目指す。

大相撲入りと昇進

2002年1月場所に琴菊次の四股名で初土俵を踏み、その後昇進を重ねていく。順調な出世を遂げたが、挫折も経験し、幕下での壁にも苦しむ。竹縄親方の指導を受け、突き押しからがぶり寄りへ転向し、徐々にその成績を向上させる。2004年には新十両に昇進し、「琴奨菊」の名を受ける。この年から、連続勝ち越しを記録するなど順風満帆な道を歩んでいた。2005年1月には新入幕を果たす。

大関昇進と栄光

決定的な成績を築いた琴奨菊は、2011年11月場所で大関に昇進。特に2016年1月場所では、その努力が実り、初めての幕内最高優勝を果たし、日本出身力士として10年ぶりの優勝を達成した。この瞬間は、彼自身にとって最大の栄光であった。

大関としては安定した成績を残し、名勝負を幾つも繰り広げるも、怪我や調子の波が影響し始める。再び大関昇進を目指したものの、2017年の角番からがその道を遮る。

引退とその後の人生

2020年11月場所をもって現役を引退し、年寄・秀ノ山を名乗る。引退後、同年4月には引退相撲を行い、ファンの前で感謝の気持ちを表した。その後は流派を超えた若手の育成に専念し、相撲への情熱を持ち続けている。新設した秀ノ山部屋では個々の特性に応じた稽古法を導入し、力士たちの成長を促すことを目指している。

取り口と人柄

琴奨菊の取り口は、左四つを主体としつつ、体格や力で押し込むスタイルが特徴的である。取組の際、「琴バウアー」と呼ばれる独特の仕切りを持ち、観客を魅了した。普段は下戸でありながら質素な食事・生活を送り、深い人間性がファンに愛され続けている。

最後に

琴奨菊和弘の相撲人生は、努力と苦難の連続であったが、彼の功績と人柄は多くの人々にインスピレーションを与えている。今後も彼の指導のもと、新たな力士たちが育っていく姿を見られる日が待たれる。

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