瑞兆

瑞兆とは

瑞兆（ずいちょう）とは、良い出来事が起こる前兆、つまり吉兆のことです。吉事の前触れを示すとされる、気象、品物、事象などを指します。反対に、悪いことが起こる前兆は凶兆と呼ばれます。

概要

本来、瑞兆は「めでたいことが起こる兆し」という意味ですが、歴史的には、権力者の出生時などに起こったとされることが多いです。古来、為政者は天意によって選ばれた神聖な存在である必要がありました。そのため、その誕生や成長の過程で、普通では起こらないようなめでたい出来事が起きたとすることで、自らの権威を正当化しようとしたのです。また、政権を奪取するための根拠としても利用されました。

歴史書に記載されている瑞兆の多くは、後世の人が書いたものであり、そのほとんどが創作であるか、偶然の一致であると考えられます。しかし、中には王莽のように、瑞兆を偽造して世論を誘導し、自らが帝位を簒奪する根拠とした者もいます。

このような瑞兆伝説は、出自の低い権力者において特に顕著に見られます。彼らは自身の出自を覆い隠すために、瑞兆を利用したのです。

例えば、漢の高祖の白蛇退治伝説や、豊臣秀吉の母親である大政所が妊娠中に太陽が体内に入ったという日吉丸伝説などが有名です。また、瑞兆の一つである甘露は、唐代には甘露の変という宦官誅滅未遂事件の口実としても利用されました。

瑞兆とされるもの

古来より、瑞兆とされるものには以下のようなものが挙げられます。

伝説上の生物の出現：竜、鳳凰、麒麟など
吉祥とされる生物の出現：鶴、亀など
伝説上の品物の出現、原因不明の芳香：甘露など
特異な気象、自然現象の発生：彩雲、新星など
希少な品物の発見、発掘：玉、貴金属など
吉夢

これらの瑞兆は、人々が幸運を願い、未来への期待を込めて信じてきたものです。

関連事項

瑞相
瑞獣
陰陽道 - 天文道
天人相関説

外部リンク

* 『瑞兆』 - コトバンク

瑞兆は、単なる偶然の出来事である可能性もありますが、人々の希望や願望が込められた、文化的な象徴として、今もなお語り継がれています。

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