瑠璃寺 (長野県高森町)

瑠璃寺

瑠璃寺は、長野県下伊那郡高森町にある天台宗の寺院で、大嶋山医王院と号します。平安時代の天永3年（1112年）に比叡山竹林院の観誉僧都によって開かれたと伝えられています。本尊は薬師如来で、古くから地域の人々に信仰されてきました。

歴史

瑠璃寺の創建は、観誉僧都が東国を教化するためにこの地を訪れた際、仁王山の洞窟で薬師如来の出現に感銘を受けたことに始まるとされています。当初、寺は現在の場所より約2km上流の堂所に建立されました。さらに上流には、不動明王を祀る不動滝があり、創建当時は多くの参詣者で賑わったと伝えられています。

本尊の薬師如来像と両脇侍の日光菩薩像・月光菩薩像は、開基以来秘仏として守られており、平安時代後期の作とされています。昭和9年（1934年）には国の重要文化財に指定されました。

観誉僧都の没後、寺は一時的に無住となりましたが、元暦元年（1184年）に比叡山から宝乗上人が来住し、荒廃していた伽藍を現在の場所に移して再建しました。文治2年（1186年）には堂塔伽藍が造営され、鎌倉時代には将軍源頼朝の庇護を受け、寺の規模は一層拡大しました。建久8年（1197年）には鎌倉幕府の祈願所となり、桜の苗木が寄進されています。

戦国時代には、叡山東塔正覚院の重盛僧正が瑠璃寺の住職を兼ね、武田氏や上杉氏からも祈願所として寺領を安堵されました。天正10年（1582年）には織田信長の伊那侵攻により堂塔が焼失しましたが、住職の栄運法印が本尊を奥之院堂所へ避難させました。慶長6年（1601年）には徳川家康配下の伊那郡代官、朝日受永から朱印地を寄進され、同11年（1606年）には飯田城主小笠原秀政の庇護のもと、避難場所に堂塔が再建されました。寛永元年（1624年）に現在の地に移転しています。

江戸時代には、幕府の安定とともに村里に近い現在地へと再移転したと考えられています。瑠璃寺には、3代将軍徳川家光以降、9通の御朱印状が残されています。また、中部四十九薬師霊場の十六番札所、伊那西国三十三所の第三十三番札所としても知られています。

境内

瑠璃寺の境内には、以下のような堂宇や施設があります。

本堂薬師堂：寛文12年（1672年）に建立され、元文4年（1739年）に補修されました。
観音堂
阿弥陀堂
地蔵堂
宝蔵庫：明治33年（1900年）に建立されました。
客殿・庫裡：安永6年（1777年）に再建されました。
表門：安永8年（1779年）に建立されました。
日吉神社：観誉僧都が瑠璃寺建立後に勧請した鎮守の神です。
石仁王像：延享3年（1746年）に建立されました。
六地蔵像：安政2年（1855年）に建立されました。

文化財

瑠璃寺には、数多くの文化財が所蔵されています。

重要文化財

木造薬師如来及び両脇侍像：平安時代後期の作で、中尊の薬師如来坐像は像高90cm、左脇侍の日光菩薩立像は像高102cm、右脇侍の月光菩薩立像は像高103cmです。昭和9年（1934年）に国の重要文化財に指定されました。

その他の文化財

木造聖観世音菩薩立像：平安時代後期の作で、像高169cm。長野県宝に指定されています。
木造地蔵菩薩立像：平安時代後期の作で、像高159cmです。
本堂薬師堂：寛文12年（1672年）に建立されたもので、高森町宝に指定されています。
源頼朝寄進桜：昭和13年（1938年）に長野県の天然記念物に指定されました。
瑠璃寺の獅子舞：4月第2土、日曜日に舞われる長野県民俗無形文化財です。

所在地

長野県下伊那郡高森町大島山812

交通

JR飯田線市田駅から約4km、車で約10分。
中央道松川インターチェンジから車で約10分。

参考文献

高森町誌　上巻前篇、上巻後篇　高森町誌編纂委員会　昭和47年（1972年）発行。
下伊那史4巻　下伊那史編纂会　代表　市村咸人　信濃教育会出版部発行　昭和36年（1961年）発行。

外部リンク

天台宗 醫王院 瑠璃寺 瑠璃の里会館
高森町歴史民俗資料館 時の駅
長野県南部観光ガイド 南信州ナビ 瑠璃寺
長野県南部観光ガイド 南信州ナビ 瑠璃寺の桜

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