環状通エルムトンネル

環状通エルムトンネル

環状通エルムトンネルは、北海道札幌市の都市計画道路である環状通（札幌市道北大環状線）に位置する道路トンネルです。特徴として、北海道大学札幌キャンパスの地下を通過する形で建設されています。

歴史的背景

このトンネルが建設されるまでには、長い年月をかけた計画と協議がありました。

計画の始まり: 1936年（昭和11年）に「競馬場北通」として初めて計画されました。
都市計画: 1957年の札幌総合都市計画を経て、1965年にはこの区間を含む環状通の都市計画が正式に定められました。
整備の開始: 1967年から環状通の整備が順次進められましたが、北大キャンパス部分は長らく未着工の状態でした。
北大との協議: 1981年より札幌市と北海道大学との間で協議が重ねられ、1996年に地下式とすることが決定しました。
工事の開始と開通: 1997年4月15日に事業認可が下り、同年から本体工事に着手。2001年（平成13年）7月19日に、本トンネルを含む1,070mの区間が開通し、環状通が全線開通となりました。
名称の由来: キャンパスに自生するニレの木にちなみ、「エルムの森」と呼ばれていることから、「環状通エルムトンネル」と名付けられました。

構造

トンネルの構造には、環境への配慮と安全性の確保が重視されています。

トンネルの規模: トンネル全長は730mです。
建設工法: 開削工法で建設されました。
内部構造: 幅31m、高さ8mの3連ボックス構造で、中央部を排気ダクト、両側を内回り・外回り各3車線の車両通行帯と点検路としています。
換気システム: 周辺の環境保全のため集中換気方式を採用し、内径3,350mmの排風機4台を使用。集塵装置を通した排気を地上15mの換気塔から上空へ希釈拡散し、坑口から排気ガスが出ないように配慮されています。
安全対策: 坑口のスロープ部には、凍結対策のロードヒーティングと騒音対策の遮音壁が整備されています。
その他設備: トンネル内ではラジオ再送信設備（NHK第1・第2・NHK-FM、HBCラジオ・STVラジオ・FM NORTH WAVE・エフエム北海道）が運用されています。
地上部: トンネルは自動車専用ですが、地上部には歩行者・自転車が通行可能な遊歩道が整備されています。

整備効果

トンネルの開通は、周辺の交通状況に変化をもたらしました。

交通量: 将来計画交通量は42,300台を見込んでおり、2002年7月の一日当たりの平均交通量は36,416台でした。
* 周辺道路への影響: 本道の開通により、北大キャンパス北側の宮の森北24条通の2001年度の一日平均交通量は対1996年比で20%減少、南側の北8条通は同6%減少しました。

環状通エルムトンネルは、交通の円滑化だけでなく、環境保全にも配慮した構造となっており、札幌市の都市機能に大きく貢献しています。

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