生仁城

生仁城（なまにじょう）

生仁城は、信濃国埴科郡、現在の長野県千曲市生萱に位置する山城です。唐崎山城、藤崎山城とも呼ばれています。この城は、戦国時代には雨宮氏が、それ以前には生仁氏が拠点としていたとされ、藤崎氏も一時的に利用したと考えられています。

歴史

1387年、村上頼国が小笠原清順、高梨朝高、長沼太郎らと共に、善光寺（横山城？）で挙兵し、守護の斯波義種に反抗しました。この反乱の中で、村上勢は守護所を攻撃し、漆田原での戦いを経て、守護代の二宮氏泰が籠城する横山城を陥落させました。その後、敗走する守護方の市河氏らを追撃し、この生仁城を攻める合戦に至りました。

1403年、幕府の代官として細川兵庫助慈忠が善光寺横山に入りました。これは、大塔合戦以来、幕府が信濃の直接統治を目指した措置と考えられます。しかし、村上氏や大井光矩、井上光頼、小笠原為経、高梨経頼、伴野氏らはこれに従わず、段の原で抵抗しました。生仁城や塩崎城でも幕府軍は村上満信らと合戦を行い、これを退けました。翌年には、所領の実態究明に強く抵抗する高梨左馬助とも合戦に及び、高梨方の桐原館や若槻城を攻略。その後も下芋河、替佐、蓮、東条などを転戦しました。市河氏貞は幕府軍に属して戦い、生仁城での攻城戦で重傷を負いました。

戦略的重要性

生仁城の麓には、雨宮の渡し跡があります。この渡しは、第四次川中島の戦いの際、上杉勢が妻女山に布陣したとの報を受け、甲斐から駆けつけた武田信玄が最初に抑え、上杉勢を封じようとした場所として知られています。その後、武田勢が海津城に移動し、炊煙の変化から武田勢の攻撃を察知した上杉謙信は、夜陰に紛れて妻女山を下り、千曲川を渡河したという逸話は有名です。

雨宮の渡しは、横田河原の戦いや大塔合戦でも争奪の地となり、度重なる攻防戦は、生仁城が古来より雨宮の渡しを制する重要な城砦であったことを示しています。この地の戦略的な重要性から、多くの武将たちがこの場所を巡って争いました。

現在の状況

現在、登山道の整備は十分ではありませんが、土塁や堀切、曲輪跡などの遺構が残っています。麓にあったとされる生仁館や雨宮館と一体となった城郭として考えられています。これらの遺構は、当時の城の構造や機能を理解する上で貴重な手がかりとなっています。

関連項目

横田河原の戦い
大塔合戦
川中島の戦い
川中島
雨宮の渡し
日本の城一覧
屋代城
塩崎城
* 塩崎新城

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