生悦住求馬

生悦住求馬（いけずみ もとめ）

1900年（明治33年）4月26日、三重県久居市に生まれた生悦住求馬は、日本の官僚、政治家として、激動の時代を駆け抜けました。1993年（平成5年）12月13日に93歳で亡くなるまで、その生涯は日本の社会に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

三重県で生まれた生悦住は、1919年に三重一中から第八高等学校文科甲類に進学。同級生には、憲法学者である穂積八束の息子、穂積秀二郎がいました。1921年には東京帝国大学英法科に入学し、穂積八束の自宅に2年間下宿するなど、勉学に励みました。

官僚としてのキャリア

1924年、生悦住は高等文官試験に合格し、大学では英法科を首席で卒業。第一志望であった内務省に入省しました。配属先は警保局で、初任給は月75円。新聞検閲主任事務官であった唐沢俊樹の下で、荒畑寒村の著書『赤露行』を初めて検閲し、発売頒布禁止処分としました。その後、栃木県、岡山県、長崎県で社会課長や官房主事などを歴任。1928年には内務省警保局図書課調査係主任事務官、1938年には同課長を務めるなど、内務省で要職を歴任しました。

1935年には『出版警察法概論』を上梓。1936年の二・二六事件発生時には、警保局幹部が不在の中、臨時に検閲主任を務めました。その後、茨城県、静岡県の警察部長を経て、内務省土木局港湾課長、地方局監査課長などを歴任。1940年には厚生省大臣官房会計課長となり、1941年には佐賀県知事（官選）、1942年には文部省社会教育局長、科学局初代局長を務めました。1943年には東京都教育局長として学童疎開を提唱・実現するなど、戦時下の行政にも携わりました。1944年には宮城県知事、1945年には千葉県知事を務めましたが、敗戦後、公職追放となり辞任しました。

戦後の活動

公職追放解除後、生悦住はわかもと製薬の顧問を経て、1953年には厚生省の外郭団体である社会福祉法人日本肢体不自由児協会専務理事となり、翌年には会長に就任しました。1954年には私立学校教職員共済組合常務理事、1955年には特殊法人日本学校給食会初代理事長に就任。1963年には財団法人学徒援護会理事長となるなど、社会福祉や教育分野で活躍しました。

1965年には、学徒援護会所有の東京学生会館移転問題で警視庁機動隊と連携して反対運動を抑え込み、移転を成功させました。しかし、1970年には再び学生会館問題で揉め、パトカーや私服刑事を動員するなど、その強硬な姿勢が問題視され、国会にも参考人として招致されました。その後、理事を辞任し評議員となりました。

その他の活動と晩年

1970年には勲二等旭日重光章を受章。1987年5月には自伝『思ひ出乃記』を出版しました。1993年12月13日に93歳で亡くなるまで、その生涯を日本のために尽くしました。


生悦住求馬は、官僚として、政治家として、そして社会事業家として、日本の社会に多大な貢献をした人物として、その名は記憶されるべきでしょう。

もう一度検索