生田原町

生田原町：北海道の豊かな自然と文化が息づいた町

2005年10月1日、北海道網走支庁管内、紋別郡に位置していた生田原町は、近隣の遠軽町、丸瀬布町、白滝村と合併し、新たな遠軽町の一部となりました。本稿では、合併前の生田原町の概要について、歴史、地理、産業、観光など多角的に解説します。

生田原町の概要

生田原町は、北海道のほぼ中央部に位置し、遠軽町の南部に隣接していました。北を除く三方を山々に囲まれた内陸型の地形が特徴で、町の中心部は生田原市街でした。国道242号と石北本線が南北に町を貫き、交通の要衝として機能していました。気候は内陸性気候に属し、昼夜の寒暖差が大きかったと伝えられています。年平均気温は約6.9度でした。

生田原川を流れる清流ではヤマベが生息し、ヤマベの里として知られていました。豊かな自然環境と、それを活かした産業、そして活気のある町並みが特徴でした。

歴史

生田原町の歴史は、1925年（大正14年）に遠軽村から分村し、二級町村制を施行したことに始まります。当初の人口は約4,767人でした。1935年（昭和10年）には生田原銅山が発見され、人口は6,000人近くに増加しました。その後、1954年（昭和29年）に町制を施行、生田原町となりました。

平成期に入ると、1998年（平成10年）には、世界各国から集めた木のおもちゃを展示する「ちゃちゃワールド（木のおもちゃワールド館）」が開館し、新たな観光資源となりました。しかし、少子高齢化や人口減少といった課題も抱えており、周辺自治体との合併に向けた動きが活発化しました。2003年5月には合併協議会が発足し、2004年11月に合併調印。そして、2005年10月1日、遠軽町、丸瀬布町、白滝村との合併により、生田原町は歴史に幕を閉じました。

産業と経済

生田原町の主要産業は、農業、林業、そして林産加工業でした。小麦、ビート、牧草、デントコーンなどの農産物が栽培され、地元産木材を使った木工品生産も盛んでした。その象徴として「ちゃちゃワールド」は、町を代表する観光施設として貢献しました。

文化と観光

生田原町には、「ちゃちゃワールド」の他に、オホーツク文学館、オホーツク文学碑公園、歌句碑ロードといった文化施設がありました。オホーツク地方の文学作品を展示する文学館や、多くの歌碑、句碑が立ち並ぶ公園は、地域の文化・歴史を伝える貴重な存在でした。また、生田原温泉ホテルノースキングなども観光資源として知られていました。

さらに、ヤマベまつり、木のおもちゃ王国、生田原町産業まつりなど、地域住民が一体となって行う様々なイベントが開催され、活気ある町並みを形成していました。

行政と交通

生田原町は、平成7年度からコンピュータによる総合行政システムを導入し、OA化による効率的な行政管理に力を入れていました。しかし、地方債残高の増加といった課題にも取り組んでいました。町長以下、職員一同で財政健全化に努めていたことがうかがえます。

交通面では、JR石北本線（安国駅、生野駅、生田原駅）、国道242号、国道333号、北海道北見バス、北紋バスなどが町の交通網を支えていました。最寄りの空港は女満別空港でした。

姉妹都市

生田原町は、フランスのジュラ県モアラン・アン・モンターニュ町と姉妹都市提携を結んでいました。

まとめ

生田原町は、豊かな自然と、それを活かした産業、そして活気あふれる文化イベントが特徴の町でした。合併によって姿を消したものの、その歴史と文化は、新たな遠軽町に引き継がれ、今なお語り継がれていることでしょう。

もう一度検索