生田町 (神戸市)

生田町：歴史と文化が織りなす神戸の街

神戸市中央区に位置する生田町は、生田川とその旧河川敷が織りなす三角形状の地域です。住宅地が中心ですが、商業地域も点在し、古くからの歴史と近代的な開発が調和した独特の景観が魅力です。東は生田川を挟んで熊内町、旗塚通、神若通などに接し、南には二宮町、西には布引町、北には加納町と隣接しています。町域は、北部を一丁目、中央部を二丁目、南東部を三丁目、南西部を四丁目として構成されています。

生田町の歴史：生田村から現代へ

生田町の町名は、江戸時代にこの地域南部に存在した生田村に由来します。明治32年（1899年）、当時の大字葺合の一部から生田町が成立しました。昭和6年までは「葺合生田町」と呼ばれていましたが、その後「生田町」に改称されました。

明治時代には、町内での工事中に大小7、8基の古墳が発見され、その石棺の一部は大仙寺に移されたという歴史もあります。この古墳は、寛延2年（1749年）の「摂津国菟原郡葺屋荘見取略図」に記される「乙女塚」の可能性が指摘されています。

明治38年（1905年）の阪神電気鉄道開通、大正元年（1912年）の神戸電気鉄道（後の神戸市電）布引線開通など、交通網の発展と共に生田町は発展を続けました。昭和4年（1929年）には神戸ユニオン教会が移転し、地域のランドマークの一つとなりました。しかし、昭和44～45年（1969～1970年）の市電布引線廃止、平成4年（1992年）のユニオン教会移転など、時代の流れの中で変化も経験しています。

その後も、昭和51年（1976年）の新神戸トンネル竣工、昭和55年（1980年）の葺合区・生田区の合併による中央区への所属変更、昭和58年（1983年）の山麓バイパス竣工、昭和60年（1985年）の神戸市営地下鉄開通など、生田町を取り巻く環境は大きく変化しました。平成11年（1999年）には、ユニオン教会跡地にドイツパン屋フロインドリーブが移転オープンしました。

生田町の現在：多様な施設と変化する街並み

生田町には、現在も多くの施設が存在します。代表的なものとして、寺院（東極楽寺、大仙寺）、教会（日本基督教団神戸聖愛教会、かつて存在した神戸ユニオン教会跡地）、公園（生田町公園）などが挙げられます。かつては新神戸ビルやオリンピア幼稚園（現在は特別養護老人ホーム）などもありました。

人口は変遷を辿り、平成17年（2005年）の国勢調査では世帯数1,322世帯、人口1,850人でした。昭和35年（1960年）には1,981人と現在の世帯数より人口が多かった一方、大正9年（1920年）には2,849人と、さらに多くの住民が生活していました。

生田町は、歴史と現代が共存する、変化に富んだ地域です。古くからの寺院や教会、そして近代的な建物が調和して、独特の雰囲気を作り出しています。今後も、歴史と現代が織りなす魅力的な街として、発展を続けることでしょう。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三 編『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』角川書店、1988年

もう一度検索