産交バス小国営業所:阿蘇地方を支えたバス拠点の歴史
熊本県阿蘇郡小国町に位置していた産交バス小国営業所は、九州産交バスグループの一員として、長年にわたり地域住民の足として重要な役割を担っていました。かつては九州産業交通から路線を承継し、その後、子会社再編を経て産交バスの営業所として運営されていましたが、2021年頃、営業所としての機能を停止しました。
営業所としての歴史と変遷
小国営業所は、
1984年の九州産業交通からの路線廃止と、産交観光バスへの移管を経て、
2005年には産交バスに再統合されました。その後、長年にわたり小国町および周辺地域をカバーする路線バスの運行を担ってきました。多くの路線は阿蘇営業所に継承され、営業所跡地は「産交バス阿蘇営業所小国車庫」として利用されています。乗務員や車両は現在もこの車庫に駐在していますが、乗車券窓口は阿蘇営業所に統合され閉鎖されています。
運行路線と地域貢献
小国営業所は、小国町と
南小国町全域を網羅する路線バスを運行していました。
阿蘇市にある
阿蘇駅へと至る路線も担当し、地域住民の交通手段を支えてきました。特に、小国町と
南小国町を結ぶ
コミュニティバス「
小国郷循環バス(ぐる〜とBUS)」の運行を委託されていたことは、地域社会への貢献として特筆に値します。
かつては、
杖立温泉から
熊本空港を経由し、
熊本市中心部までを結ぶ快速バス「
かじか号」も運行していましたが、2007年3月末をもって廃止されました。現在は、熊本方面へのアクセスには、
黒川温泉で九州横断バスに乗り換え、もしくは
阿蘇駅でやまびこ号や九州横断バスに乗り換える必要があります。
小国営業所が発着していた主な路線は以下の通りです。★印は現在も阿蘇営業所によって運行されています。
杖立線(切原~下城~簗瀬~杖立)★
岳の湯線(切原~小園~旧北里小学校前~奴留湯~戸井の口~岳の湯)(2020年4月1日廃止)
ステーション線(柏田住宅前~小国町役場前~小国中央~公立病院入口~ゆうステーション)★
湯田線(小国町役場前~ゆうステーション~小国郷農協前~南小国役場前~市原~中原~湯田)(2017年10月1日廃止)
星和線(ゆうステーション~南小国役場前~満願寺~星和)(2017年4月1日廃止)
南平線(ゆうステーション~小国大橋口~滴玉~万成寺~南平)(2015年4月1日廃止)
黒川線(ゆうステーション~小国中央~永江観音~長迫~薬師温泉入口~黒川)★
阿蘇線(ゆうステーション~小国郷農協前~南小国役場前~市原~唐笠松~大観峰入口~内牧~
阿蘇駅前)★
* 室原線(ゆうステーション~神原~仁田切~杉の平~室原)(廃止時期不明)
車両と運行体制
小国営業所では、日野、いすゞ、三菱ふそう、UDトラックスなど、国産4メーカーの車両が運用されていました。2010年代には、日野リエッセやレインボーRBといった小型車が中心となり、各路線で幅広く活用されていました。
小国郷循環バス専用車両として、小型観光タイプのエアロミディMJも導入されていました。
かつては、いすゞジャーニーKなどの中型車も導入されていましたが、経年劣化による更新に伴い、小型車への置き換えが進み、最終的には中型車は全廃となりました。かつては日野レインボーKK-RRのサンプルカーも配置されていましたが、現在は熊本営業所に転属しています。
まとめ
産交バス小国営業所は、阿蘇地方の交通を支えてきた重要な拠点でした。営業所としての機能は停止しましたが、その歴史と地域貢献は、現在も阿蘇営業所小国車庫として受け継がれ、地域住民の生活に貢献し続けています。