小鍛冶邦隆

小鍛冶邦隆（こかじ くにたか）

小鍛冶邦隆は、1955年3月18日に生まれた日本の現代音楽の作曲家であり、指揮者としても国際的に活躍しています。現在は東京芸術大学の名誉教授を務めています。

生い立ちと教育

三重県出身の小鍛冶は、1977年に東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業しました。在学中は、永冨正之や松村禎三といった著名な作曲家に師事し、作曲の基礎を築きました。その後、同大学院作曲科を中退し、パリ国立高等音楽院作曲科に進学、オリヴィエ・メシアンらに師事しました。さらに、ウィーン国立音楽大学指揮科ではオトマール・スウィトナーに師事し、指揮法を学びました。パリとウィーンではコレペティトア（オペラ・コーチ）やオペラ指揮の経験を積み、シエナとローマではフランコ・フェラーラに師事、イーゴリ・マルケヴィチやマニュエル・ロザンタルなどからも指導を受けました。これらの経験が、彼の音楽的視野を広げる上で重要な役割を果たしました。

作曲家としての活動

小鍛冶は、クセナキス国際作曲コンクール（パリ）で第1位を受賞したのをはじめ、入野賞、文化庁舞台芸術創作奨励賞、別宮作曲新人賞など、数々の賞を受賞しています。また、国際現代音楽協会(ISCM)「世界音楽の日々」にも入選するなど、国内外で高い評価を得ています。

指揮者としての活動

東京現代音楽アンサンブルCOmeTのディレクター・指揮者としても活動しており、第3回佐治敬三賞（室内オーケストラの領域Ⅲ）を受賞しています。現代音楽の演奏にも力を入れており、作曲家としての活動と並行して、現代音楽の普及に貢献しています。

教育者としての活動

明治学院大学文学部非常勤講師などを経て、東京芸術大学作曲科教授、慶應義塾大学文学部非常勤講師を務めるなど、教育者としても多くの後進を育成しています。彼の指導を受けた学生の中には、現代音楽の分野で活躍する人材も多く、日本の音楽界に大きな影響を与えています。

著書・翻訳

小鍛冶は、作曲に関する理論書や、音楽に関するエッセイも執筆しています。『作曲の技法　バッハからヴェーベルンまで』（音楽之友社、2007年）や『作曲の思想　音楽・知のメモリア』（アルテスパブリッシング、2010年）は、彼の音楽に対する深い洞察が示された著書です。また、バッハの音楽に関する分析書や、ルイージ・ケルビーニの対位法に関する翻訳書も出版しており、幅広い知識と理解を示しています。

『作曲の技法　バッハからヴェーベルンまで』音楽之友社（2007年）
『作曲の思想　音楽・知のメモリア』アルテスパブリッシング（2010年）
『バッハインヴェンション 分析と演奏の手引き』(分析 中井正子、演奏の手引き ショパン 2005)
『バッハシンフォニア 分析と演奏の手引き』(分析 中井正子、演奏の手引き ショパン 2005)
『バッハ様式によるコラール技法 課題集と60の範例付き』(林達也,山口博史共著 音楽之友社 2013)
翻訳 ルイージ・ケルビーニ『ケルビーニ　対位法とフーガ講座』アルテスパブリッシング（2013年）


小鍛冶邦隆は、作曲家、指揮者、教育者として、日本の現代音楽界に多大な貢献をしている人物です。彼の音楽に対する真摯な姿勢は、多くの人々に影響を与え続けています。

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