田中吉官

田中吉官（たなか よしすけ）

田中吉官は、江戸時代前期の大名・旗本であり、菅沼定盈の八男として生まれました。

生涯

田中家相続

文禄2年（1593年）、徳川氏の家臣・菅沼定盈の八男として誕生。初名は定行（さだゆき）、のち定官（さだすけ）と名乗りました。

徳川秀忠の近衆となり、大坂の陣へも出陣し、秀忠の麾下で軍功を挙げました。

元和8年（1622年）8月、秀忠の命により、嗣子のいなかった筑後柳河藩田中家支流の田中吉興の娘婿となります。吉官と改名して家督を相続し、近江国野洲郡、三河国田原、上野国新田など2万石を領しました。翌月、小姓頭に昇進しました。

改易・赦免

小姓頭在任中の元和9年9月18日（1623年11月10日）に、小姓組の同輩・三宅藤五郎が罪を犯して処罰されると、組頭として連帯責任を負い、除封となりました。

寛永2年（1625年）に赦免されると、蔵米2000俵を給され、御書院番として起用されます。のちに大番頭へと累進を重ねました。この際に蔵米を改め、上総国周准郡・天羽郡、安房国朝夷郡の3郡において3000石を加増されて、都合5000石を知行することとなりました。

明暦4年（1658年）1月9日に59歳で亡くなりました。

系譜

当初は子宝に恵まれず、生家・菅沼家から六兄・定芳の三男である定房（監物）を養子に迎えました。ところが寛永12年7月4日（1635年8月16日）、その定房が10歳で病死しました（法名は幼玉沙弥）。

のちに授かった実子からは、田中家が代々用いてきた通字の「吉」ではなく、生家・菅沼家の「定」に復し、嫡子には定格（さだただ）と名乗らせました。

田中家は定格の代で2000石を加増され、7000石を知行しました。その跡を嫡男の定賢（従五位下、出羽守）が相続しました。しかし、元禄15年（1702年）、定賢の子の定安が狂気により改易となり、同族の定堅が名跡を相続し、子孫は500俵の旗本として存続しました。

田中吉官は、その生涯において、徳川家への忠義を尽くし、田中家の家名を維持するために尽力しました。しかし、不運にも連帯責任による除封を経験し、その後赦免されるなど、波乱万丈な人生を送りました。彼の子孫は、旗本として江戸時代を通じて存続し、その名は歴史に刻まれています。

もう一度検索