田中敬

田中敬の生涯

田中敬（たなか たかし）は、1923年（大正12年）9月7日に広島県広島市で生まれ、2016年（平成28年）12月30日に亡くなった日本の大蔵官僚です。父親は弁護士の田中康道で、元三菱マテリアル会長や元日経連会長の永野健は従兄弟にあたります。

旧制広島高師附属中学校、旧制一高を経て、1948年（昭和23年）に東京大学法学部政治学科を卒業後、大蔵省に入省しました。大臣官房渉外部に配属され、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

大蔵省でのキャリア

田中は、大蔵省において様々な役職を歴任しました。初期には廿日市税務署長や関東信越国税局で税務行政に携わり、その後、国税庁所得税課長補佐などを務めました。

水資源開発公団では資金課長として資金調達を担当し、その後、大蔵省に戻り理財局国債課長、資金課長、大臣官房文書課長を歴任。東京税関長を経て、1973年には主計局次長に就任しました。

1976年には経済企画庁官房長に異動。1977年、大蔵省理財局長に就任。大臣官房長への起用も取り沙汰されましたが、佐上武弘が就任したため、理財局長にとどまりました。

1979年には主計局長兼会計事務職員研修所長に就任。主計局長在任中、大平正芳首相が一般消費税導入を断念した直後に急逝したことを受け、長岡實次官が辞任。その後任として、1980年6月17日に大蔵事務次官に就任しました。

大蔵事務次官としては、財政再建と国債発行抑制に力を注ぎました。

退官後の活動

1981年に大蔵省を退官した後も、田中は様々な要職を歴任しました。1982年には国民金融公庫総裁、1986年には日本輸出入銀行総裁に就任。1990年には横浜銀行頭取に就任し、1992年から1994年まで全国地方銀行協会会長を務めました。

1995年には、長年の功績が認められ、勲一等瑞宝章を受章。没後、従三位を叙位されました。

人物像

田中敬は、そのキャリアを通して、日本の財政運営に深く関与しました。大蔵省では、税務行政、財政、金融など多岐にわたる分野で重要な役割を果たし、退官後も金融界で活躍を続けました。彼の功績は、日本の戦後経済の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

官歴詳細

以下に田中の官歴をまとめます。

1948年9月：大蔵省入省。大臣官房渉外部配属
1948年11月：大臣官房渉外課
1949年6月：大臣官房財務官室
1952年1月：東京国税局調査査察部調査第二課
1952年3月：廿日市税務署長
1953年7月：銀行局保険課長補佐心得
1954年1月：銀行局保険課長補佐
1956年8月：主計局主計官補佐（総理府係）
1957年5月：主計局主計官補佐（防衛係）
1960年7月：関東信越国税局間税部長
1962年6月：国税庁直税部所得税課長補佐
1963年10月：水資源開発公団参事 兼 経理部資金課長
1964年11月：佐藤榮作内閣総理大臣秘書官（事務担当）
1968年8月：理財局国債課長
1969年8月：理財局資金課長
1971年6月：大臣官房文書課長
1972年6月：東京税関長
1973年6月：主計局次長（末席）
1974年7月：主計局次長（次席）
1975年7月：主計局次長（筆頭）
1976年6月：経済企画庁長官官房長
1977年6月：理財局長
1979年7月：主計局長 兼 会計事務職員研修所長
1980年6月：大蔵事務次官
1981年6月：退官

参考文献

『大蔵省人名録：明治・大正・昭和』大蔵財務協会、1973年。

外部リンク

* 田中敬 とは - コトバンク

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