佐上武弘

佐上武弘（さがみ たけひろ）は、1922年に生まれ、2018年1月9日に亡くなった日本の大蔵官僚、元財務官です。

生い立ちと学歴

佐上武弘は、佐上信一の次男として生まれました。また、厚生省の官僚であった翁久次郎とは義理の兄弟関係にあります。1948年には東京大学法学部法律学科を卒業しています。

大蔵省でのキャリア

大学卒業後、佐上は1948年9月に大蔵省に入省し、渉外部に配属されました。その後、大臣官房涉外課、ノースカロライナ大学への留学を経て、警察予備隊本部経理局などにも勤務しました。1953年からは主税局に籍を置き、税制第二課長補佐などを務めました。

1960年代に入ると、主計局で地方財政を担当したほか、外務省にも出向し、在ドイツ連邦大使館に勤務しました。その後、主税局国際租税課長、経済企画庁国民生活局物価政策課長、銀行局銀行課長などを歴任しました。

ニクソンショックと佐上の役割

1971年のニクソンショック（ドルショック）時には、佐上は大臣官房調査企画課長として、鳩山威一郎次官らとともに市場閉鎖を主張しました。この際、市場閉鎖反対派との間で激しい議論が交わされ、結果として約12日間市場が閉鎖されることとなり、外国為替市場は混乱しました。

1973年以降は、近畿財務局長、大臣官房審議官（国際金融局担当、大臣官房担当）を歴任し、1977年には大臣官房長に就任しました。田中敬の起用説もありましたが、福田政権下で経済政策に強い佐上が起用されることになりました。

財務官への異例の昇進

1978年には、財務官に就任しました。通常、財務官は国際金融局長から昇進することが多いのですが、佐上は内局の局長経験を経ずに、異例の官房長からの昇進となりました。この人事の背景には、竹内道雄や吉瀬維哉といった当時の大蔵省幹部が国際関係を重視していたことが影響していると見られています。

その後

財務官退任後は、1986年にモルガン銀行の国際顧問に就任し、1993年には勲二等瑞宝章を受章しました。

佐上武弘は、大蔵官僚として、日本の経済政策に深く関わり、特に国際金融の分野で重要な役割を果たしました。彼のキャリアは、日本の経済史を語る上で欠かせないものです。

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