田中苑

田中苑：岡山県井原市の美しい日本庭園

岡山県井原市に位置する田中苑は、5,240平方メートルもの広さを誇る無料の日本庭園公園です。彫刻家、平櫛田中氏にちなんで名付けられ、その作品の数々が園内に点在しています。井原市民の憩いの場として親しまれ、四季を通じて美しい景観を楽しめる場所として知られています。

園内の魅力：自然と芸術の融合

南斗山の東斜面を背景に広がる田中苑は、小田川の伏流水を利用した小川が流れ、緑豊かな自然に恵まれています。楷の木、楓、黒松、桜、サツキなど、多様な樹木が植えられており、春には桜、初夏にはサツキの花々が園内を彩ります。特に、秋には約10メートルもの高さに成長した楷の木が鮮やかに紅葉し、見頃となる10月下旬から11月上旬には多くの観光客が訪れます。楷の木は中国原産で、「学問の木」として知られており、園内のものは井原市出身の実業家・馬越恭平氏の孫が中国から持ち帰った苗木を植えたものです。

園内には、平櫛田中のブロンズ作品も点在しています。「鏡獅子」や「西山逍遥」など、力強く美しい彫刻は、自然豊かな風景と調和し、独特の雰囲気を醸し出しています。これらの作品は、木彫制作のための石膏原型から鋳造されたもので、作者本人から寄贈された貴重なものです。

文化と憩いの空間：市民茶室とコミュニティ道路

田中苑には、市民茶室「不老庵」が設けられています。田中翁にちなんで名付けられたこの本格的な茶室は、流派を問わず多くの茶道愛好家に利用されており、伝統文化の継承にも貢献しています。

また、公園南側の市道（井原市道田中館通り線）は、人と車が共存できるコミュニティ道路として整備されました。これは岡山県内初となる試みで、田中苑と田中美術館、井原市役所、井原市民会館といった周辺施設を一体化し、文化ゾーンとしての魅力を高めています。

アクセスと施設情報

田中苑は、井原市役所および井原市民会館の北隣に位置しています。

自動車の場合： 山陽自動車道笠岡ICまたは福山東ICから約20～25分。駐車場は、井原市役所、田中美術館、井原市民会館と共用です。

公共交通機関の場合： 井原鉄道井原線井原駅から徒歩約15分。井原あいあいバス（市内循環バス）田中美術館線を利用することも可能です。JR笠岡駅からは、井笠バス井原行きで「駅前通りバス停」下車、徒歩約3分です。

園内には、センサー式照明や換気扇が設置された観光トイレも完備されており、快適な滞在をサポートしています。

まとめ：自然と芸術、そして地域と一体となった空間

田中苑は、自然美と芸術、そして地域住民の憩いの場が調和した、魅力的な空間です。無料開放されているため、気軽に訪れて、美しい景観と芸術作品、そして静寂なひとときを満喫することができます。井原市を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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