田井正一
田井 正一は、嘉永元年（1848年）に松本藩士・堀江量一の三男として信州松本に生まれました。明治2年（1869年）に田井せんと結婚し、田井家を相続しました。
明治9年（1876年）にキリスト教の洗礼を受けると、明治11年（1878年）からは、立教大学の創設者としても知られるチャニング・ウィリアムズ主教の指導の下、聖公会における日本人聖職者の先駆けである横山錦柵と共に、川越を起点とした地方での伝道活動を開始しました。
その後、田井は金井登と共に東京三一神学校（現在の聖公会神学院）に入学し、約四年間神学を学びました。明治15年（1882年）に金井と共に同校を卒業し、第一回卒業生として名を刻みました。
明治16年（1883年）3月、深川聖三一教会にてウィリアムズ主教から金井と共に執事按手を受け、田井は東京の神田キリスト教会に仮牧師として着任しました。この執事按手が聖公会における日本人初の聖職按手であるとの資料も見られますが、これに先立つ明治12年（1879年）には、名出保太郎が既に日本人として聖公会の聖職に就いていたことが確認されています。
明治18年（1885年）冬には、福井から上京した林歌子を田井がウィリアムズ主教に紹介したことがきっかけとなり、歌子はエマ・フルベッキの日本語教師を務める傍ら、立教女学校でも教鞭を執るようになりました。
明治20年（1887年）2月には、大阪において、米国聖公会内外伝道協会（DFMS）、英国聖公会宣教協会（CMS）、英国海外福音伝道会（SPG）の各ミッションが合同し、日本聖公会が組織として正式に発足しました。この歴史的な会議期間中の日曜日に、田井正一は説教を担当しました。そして、組織成立会議が閉会した後、司祭のジョン・マキムやページと共に大阪周辺の聖公会拠点十数カ所を巡り、日本聖公会の誕生とその意義について各地に報告して回りました。
明治22年（1889年）12月21日、田井は司祭按手を受け、神田キリスト教会の日本人初代主任司祭に就任しました。翌明治23年（1890年）には、東京・麹町区五番町にあった静修女学校（立教大学や立教女学院と関係の深い学校）の校長を兼務することになりました。
明治26年（1893年）3月まで神田キリスト教会の司祭を務めた後、ジョン・マキム主教の指示により、仙台で伝道活動を行っていたジェフリーズ司祭の補佐にあたることになりました。更に翌明治27年（1894年）夏以降は、田井が仙台地域の責任者となり、ジェフリーズは東北全域の伝道を担うことになりました。
明治28年（1895年）6月、マキム主教やジェフリーズらの推薦を受け、田井は米国へ渡り、サンフランシスコに滞在する日本人への伝道活動を開始しました。この旅費は、ウィリアムズ主教の引退後に臨時主教を務めていたヘアー司祭から支給されました。同年9月には、米国聖公会内外伝道協会の理事会が、カリフォルニア州での中国人伝道予算を、田井正一が進めるサンフランシスコ在住日本人への伝道事業に転用することを決定し、伝道本部からの財政的な支援を得るに至りました。
明治29年（1896年）春にサンフランシスコ・ミッションが設立された後、田井は今度は米国東海岸へと活動拠点を移しました。彼の郵便物はニューヨーク市にある米国聖公会本部、チャーチ・ミッションズ・ハウス宛に送付されるようになりました。
明治30年（1897年）6月27日に日本に帰国すると、米国社会で観察してきた宗教の働きを日本での活動に活かしながら伝道を進めました。
明治34年（1901年）4月、田井は川越に居を定め、川越キリスト教会の定住司祭となりました。教育分野にも貢献し、明治35年（1902年）3月24日には私立宇気良幼稚園（現在の初雁幼稚園）の設立申請を埼玉県に提出し、これが埼玉県で初めての私立幼稚園となりました。また、明治36年（1903年）5月6日には、私立川越女学院の設立申請も埼玉県に提出しています。
田井が拠点とした川越キリスト教会には、明治22年（1889年）に木造の教会堂が竣工していましたが、明治26年（1893年）の川越大火により焼失していました。急ぎ再建された洋風平屋の礼拝堂が使用されていましたが、使用上の問題から新たな礼拝堂建設が望まれていました。建設用地は確保されていたものの、資金不足のため長らく着工できずにいました。そこで田井は、明治37年（1904年）に来日し川越で宣教師を務めていたキャロライン・ヘイウッドの協力を得て、大正2年（1913年）に米国聖公会の機関紙を通じて教会建設資金の寄付を呼びかけました。その結果、目標額を超える募金が集まりました。しかし、その後も建設はすぐには進まず、大正10年（1921年）になってようやく、ウィリアム・ウィルソンの設計、清水組の施工によるイギリス・チューダー様式の美しい礼拝堂が完成を迎えました。
昭和2年（1927年）4月6日、川越にてその生涯を終えました。
明治9年（1876年）にキリスト教の洗礼を受けると、明治11年（1878年）からは、立教大学の創設者としても知られるチャニング・ウィリアムズ主教の指導の下、聖公会における日本人聖職者の先駆けである横山錦柵と共に、川越を起点とした地方での伝道活動を開始しました。
その後、田井は金井登と共に東京三一神学校（現在の聖公会神学院）に入学し、約四年間神学を学びました。明治15年（1882年）に金井と共に同校を卒業し、第一回卒業生として名を刻みました。
明治16年（1883年）3月、深川聖三一教会にてウィリアムズ主教から金井と共に執事按手を受け、田井は東京の神田キリスト教会に仮牧師として着任しました。この執事按手が聖公会における日本人初の聖職按手であるとの資料も見られますが、これに先立つ明治12年（1879年）には、名出保太郎が既に日本人として聖公会の聖職に就いていたことが確認されています。
明治18年（1885年）冬には、福井から上京した林歌子を田井がウィリアムズ主教に紹介したことがきっかけとなり、歌子はエマ・フルベッキの日本語教師を務める傍ら、立教女学校でも教鞭を執るようになりました。
明治20年（1887年）2月には、大阪において、米国聖公会内外伝道協会（DFMS）、英国聖公会宣教協会（CMS）、英国海外福音伝道会（SPG）の各ミッションが合同し、日本聖公会が組織として正式に発足しました。この歴史的な会議期間中の日曜日に、田井正一は説教を担当しました。そして、組織成立会議が閉会した後、司祭のジョン・マキムやページと共に大阪周辺の聖公会拠点十数カ所を巡り、日本聖公会の誕生とその意義について各地に報告して回りました。
明治22年（1889年）12月21日、田井は司祭按手を受け、神田キリスト教会の日本人初代主任司祭に就任しました。翌明治23年（1890年）には、東京・麹町区五番町にあった静修女学校（立教大学や立教女学院と関係の深い学校）の校長を兼務することになりました。
明治26年（1893年）3月まで神田キリスト教会の司祭を務めた後、ジョン・マキム主教の指示により、仙台で伝道活動を行っていたジェフリーズ司祭の補佐にあたることになりました。更に翌明治27年（1894年）夏以降は、田井が仙台地域の責任者となり、ジェフリーズは東北全域の伝道を担うことになりました。
明治28年（1895年）6月、マキム主教やジェフリーズらの推薦を受け、田井は米国へ渡り、サンフランシスコに滞在する日本人への伝道活動を開始しました。この旅費は、ウィリアムズ主教の引退後に臨時主教を務めていたヘアー司祭から支給されました。同年9月には、米国聖公会内外伝道協会の理事会が、カリフォルニア州での中国人伝道予算を、田井正一が進めるサンフランシスコ在住日本人への伝道事業に転用することを決定し、伝道本部からの財政的な支援を得るに至りました。
明治29年（1896年）春にサンフランシスコ・ミッションが設立された後、田井は今度は米国東海岸へと活動拠点を移しました。彼の郵便物はニューヨーク市にある米国聖公会本部、チャーチ・ミッションズ・ハウス宛に送付されるようになりました。
明治30年（1897年）6月27日に日本に帰国すると、米国社会で観察してきた宗教の働きを日本での活動に活かしながら伝道を進めました。
明治34年（1901年）4月、田井は川越に居を定め、川越キリスト教会の定住司祭となりました。教育分野にも貢献し、明治35年（1902年）3月24日には私立宇気良幼稚園（現在の初雁幼稚園）の設立申請を埼玉県に提出し、これが埼玉県で初めての私立幼稚園となりました。また、明治36年（1903年）5月6日には、私立川越女学院の設立申請も埼玉県に提出しています。
田井が拠点とした川越キリスト教会には、明治22年（1889年）に木造の教会堂が竣工していましたが、明治26年（1893年）の川越大火により焼失していました。急ぎ再建された洋風平屋の礼拝堂が使用されていましたが、使用上の問題から新たな礼拝堂建設が望まれていました。建設用地は確保されていたものの、資金不足のため長らく着工できずにいました。そこで田井は、明治37年（1904年）に来日し川越で宣教師を務めていたキャロライン・ヘイウッドの協力を得て、大正2年（1913年）に米国聖公会の機関紙を通じて教会建設資金の寄付を呼びかけました。その結果、目標額を超える募金が集まりました。しかし、その後も建設はすぐには進まず、大正10年（1921年）になってようやく、ウィリアム・ウィルソンの設計、清水組の施工によるイギリス・チューダー様式の美しい礼拝堂が完成を迎えました。
昭和2年（1927年）4月6日、川越にてその生涯を終えました。
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