田原親賢

田原親賢：大友氏を支えた重臣の生涯

田原親賢（たわら ちかかた/たはら ちかかた）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、大友氏の家臣として知られています。出家後の田原紹忍（じょうにん）の名でも知られ、号を不思軒と称しました。武蔵今市城主、妙見嶽城城督を歴任し、大友氏の重鎮として活躍しました。

生い立ちと大友氏への仕官

奈多八幡宮大宮司・奈多鑑基の子として生まれた親賢は、大友宗麟の正室である奈多夫人の兄（または弟）にあたるため、宗麟の側近として重用されました。大友氏の一族である田原氏の傍系、武蔵田原家の田原親資の養子となり、宗麟に反抗的な姿勢を示していた田原本家を牽制する役割を担いました。

軍事的な活躍

親賢は、永禄2年（1559年）に大友勢の一員として、毛利氏と通じて挙兵した豊前の国人勢力を鎮圧しました。門司城の戦いでは、一番乗りを果たし、毛利方の武将を討ち取るなど、その武勇を示しました。これらの功績により、大友家における親賢の地位は急速に上昇し、永禄8年（1565年）には加判衆となり、臼杵鑑速の死後には国政を担うまでになりました。

しかし、親賢の急速な台頭に対し、重臣の立花道雪は異を唱えましたが、受け入れられませんでした。他の重臣が死去していくにつれ、親賢の立場はさらに強化されていきました。また、嫡男の新七郎が、大友館に人質として出仕していた麻生七郎に刺殺されるという悲劇に見舞われました。

キリスト教との対立

宗麟がキリスト教を好んだのに対し、親賢はキリスト教を嫌悪していました。養子の親虎がキリスト教に入信した際には、廃嫡するほどでした。しかし、宗麟に対しては忠実であり続け、その所領は大友家随一であったとされています。

耳川の戦いと失脚

天正6年（1578年）の耳川の戦いでは、全軍の総指揮を任された親賢でしたが、島津氏に大敗を喫しました。この敗戦は、大友氏凋落の大きな要因となり、親賢を無能とする評価が多く見られるようになりました。しかし、大友軍の士気が低かったことや、親賢が島津軍から奮戦していたと評価されている史料があることも事実です。

耳川の戦いの後、親賢は敗戦の責任を追及され、所領を没収されました。その後、養子の田原親盛に家督を譲りましたが、田原本家の田原親貫が謀反を起こすと、鎮圧にあたるなど、引き続き大友氏のために尽力しました。

晩年と最期

島津氏の豊後侵攻の際には、高崎山城を守備しました。その後、大友氏が改易されると、豊臣家直臣となり、中川秀成の与力として2,900石余を与えられました。関ヶ原の戦いでは、大友義統に従い西軍に与しましたが、石垣原の戦いで敗北し、銃弾に当たり討ち死にしました。

親賢を題材とした作品

親賢を題材とした小説に、滝口康彦の『悪名の旗』や『西の関ヶ原』、赤神諒の『大友落月記』などがあります。

参考文献

* ルイス・フロイス著、松田毅一・川崎桃太訳『完訳フロイス日本史』

まとめ

田原親賢は、大友氏の重臣として、軍事、政治の両面で活躍しました。しかし、耳川の戦いでの敗戦が、その評価を大きく二分しています。その生涯は、戦国時代の激動を生き抜いた武将の姿を伝えています。

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