臼杵鑑速

臼杵鑑速（うすき あきはや）：大友家を支えた知勇兼備の武将

臼杵鑑速は、戦国時代から安土桃山時代にかけて、豊後国の大名・大友氏に仕えた武将です。大友氏の一族である戸次氏の流れを汲み、その卓越した能力で大友家の発展に大きく貢献しました。

若き日の活躍と外交手腕

初め、鑑速は主君・大友義鑑に仕え、元服の際に「鑑」の字を賜り鑑景と名乗りました。後に鑑速と改名しています。義鑑の死後は、その子・義鎮（宗麟）に仕え、次兄の鑑続とともに外交面で活躍しました。室町幕府との交渉や、近隣諸国、さらには影響下にある国人との交渉を担当し、大友氏の勢力拡大に貢献しました。特に、安芸国の毛利氏との交渉や、薩摩国の島津氏との単独交渉など、その外交手腕は高く評価されています。

軍事面での活躍

鑑速は外交だけでなく、軍事面でもその才能を発揮しました。肥後国の菊池氏や毛利氏との合戦に積極的に参加し、数々の武功を挙げました。特に、北九州における毛利軍との戦いでは、その勇猛さが際立ちました。

大友家を支えた重鎮

弘治年間からは、兄の後を継ぎ加判衆を務め、大友氏の「三老」の一人にまで列せられました。戸次鑑連（立花道雪）、吉弘鑑理と共に、大友氏を支える重鎮として活躍しました。


数々の戦で先陣を切り、大友氏の主要な合戦にはほぼ全て出陣し、その武功は広く知れ渡りました。

門司城の戦い

永禄4年（1561年）には、大友義鎮の命により、門司城攻略戦に参加しました。吉岡長増とともに、1万5千余の兵を率いて門司城を包囲しました。激戦の末、城を落とすことはできませんでしたが、小早川隆景率いる毛利軍に大損害を与えました。

晩年と後世の評価

晩年には嫡男の統景に役目を譲り引退しましたが、その影響力は健在でした。鑑速の存命中は、宗麟の義兄・田原親賢も勝手な振る舞いはできなかったと伝えられています。また、鑑速の死後、大友家の政治が乱れたことを嘆く声も多く、その人望の厚さが伺えます。江戸時代の学者・三浦梅園は、「臼杵鑑速、吉岡宗歓がいればこんな戦いはなかった」と語り、その功績を称えました。さらに、『高橋記』にも「才徳勇猛の良将」と記され、後世にまでその名が語り継がれています。

その他

系図には「あきすみ」と書かれている資料もあります。また、大内氏滅亡の際に毛利元就から譲られた瓢箪茶入（大内瓢箪）を一時所持していた記録も残っています。

臼杵鑑速は、その知略と勇猛さで大友家を支えた名将として、後世に語り継がれる人物です。

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