田口ツギ

田口ツギの生涯

田口ツギ（たぐち ツギ）は、1903年に群馬県群馬郡滝川村（現在の高崎市の一部）に生まれた女性で、日本の社会運動家として知られています。彼女の人生は、昭和初期の激動の時代と共にあります。

生い立ちと教育

田口の家族は半農半商の穀屋を営んでいましたが、1920年の戦後恐慌によって破産に追い込まれました。彼女は上級学校へ進学することはなかったものの、養蚕や農業を手伝いながら、下田歌子の実践女学校の講義録を縁に独学を続けました。また、「詩と歌の会」という青年の集まりに参加し、知識を深めました。

早期の活動と上京

1925年初頭、田口は姉の田口マチと共に前橋市で開催された講演会に参加します。この講演会で、東京合同労働組合の活動家である丹野セツの影響を受け、彼女の活動に興味を持ちました。1926年1月、姉と一緒に家出して東京へ向かい、丹野を頼って東京合同労働組合に関わるようになります。彼女は生活基盤を求めて様々な職を転々とし、その中で労働問題に積極的に関与するようになります。

労働運動への参加

田口は1926年から1927年にかけて、日本楽器製造や浅野セメントの労働争議の支援に情熱を注ぎました。1927年には東京合同労働組合の婦人部長に任命され、同年7月には関東婦人同盟にも参加しました。彼女は当時の労働運動において欠かせない存在となっていましたが、その傍らで健康を害し、特に肺結核に苦しむこととなります。

日本共産党への加入とその後

1927年から1928年にかけて、田口は日本共産党に入党したとされています。1928年3月、彼女は再び上京したものの、わずか1日後に日本共産党の関係者が拘束される三・一五事件に巻き込まれ、自身も拘束されました。その後、彼女は市ヶ谷刑務所にいる党員と連絡を取り続け、彼らへの支援を行う役割を果たしました。

逮捕と獄中生活

その後、田口は治安維持法違反で逮捕され、2年の懲役（執行猶予4年）の判決を受けました。獄中での彼女の健康状態は悪化し、しばしば喀血するなど深刻でした。1930年初頭には保釈されましたが、その後も活動を続けました。

最後の時

保釈後は東京のキリスト教系施設ベタニヤホームに入所し、他の活動家との連絡を取り続けました。1933年6月には解放運動犠牲者救援ハウスに収容され、ここで支援を受けました。最期は故郷の群馬県に戻り、祖母と母に看取られて静かに息を引き取りました。

田口ツギは、彼女の活動や信念を通じて、不屈の精神を持った女性の象徴となっています。彼女の生涯にわたる闘争は、彼女自身の苦難だけでなく、当時の多くの人々の権利を求める闘いでもあったのです。

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