田口成良

田口成良（たぐちのしげよし）

田口成良は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけてその名を馳せた武将であり、半国の豪族として著名です。彼は粟田成良とも呼ばれ、紀氏の系譜を引くとされています。成良の出自については、弘仁元年（810年前後）に阿波守に就任した田口息継の子孫とする説が主流ですが、別の見解として田口氏は実は粟田氏であるとの主張もあります。これは、『山槐記』に登場する内舎人粟田則良の存在から来ています。

出自について

成良に関して、元亀4年の『阿波州古城諸将記』の記載では、彼の先祖である田口息継が大同3年（808年）に阿波国司となり、その子孫が桜間という名で阿波の統治を行っていたことが記録されています。代々、その職務を受け継いできた桜間外記大夫良連からは田口に改名した者もいるとのことです。

生涯の業績

田口成良は早くから平清盛の信任を受け、平家の有力な家人としての地位を確立しました。承安3年（1173年）には、大輪田泊の築港に関与し、日宋貿易の中核業務に携わったとされています。さらに、鹿ケ谷の陰謀の際には、清盛の命に従い、柿原にて藤原広長を討ち取るなどクレバーな行動も見せました。しかし、この時、彼の出身である粟田氏との競合状況を考慮すると、戦略的な位置付けも見えてきます。

治承・寿永の乱に際しては、成良は軍を指揮して上洛し、平重衡と共に南都を焼き討ちしました。その後、彼は讃岐を制圧し、屋島での内裏の造営に関わりました。だが、彼の一族が平氏側として戦った一ノ谷の戦いや屋島の戦いでは、彼の親族が捕らわれ、ゆくゆくは嫡子の田内教能が源義経に投降する事態に見舞われています。

成良自身は壇ノ浦の戦いで平家を見捨て、著名な海戦において源氏方に寝返る決断をしますが、この行動が平氏の敗北を招く一因となったと言われています。しかし、その後の記録には成良の名前が平氏の捕虜としても見受けられ、彼の行動に関しては議論が続いています。

延慶本『平家物語』によれば、成良は主人を裏切った者として斬罪される運命を辿ります。怒りを露わにした彼は、不興を買い籠に入れられ火あぶりにされるとも記されています。最終的に、彼の存在は多くの文学作品や歴史書に影響を与え、後世に語り継がれることとなりました。

なお、成良に関する記録には東大寺関連の逸話もあり、彼の関与が推測される丈六仏が阿波から寄贈されたことが記されています。このことは、成良の功績と彼の死後も続く影響を物語っているとも言えるでしょう。

まとめ

田口成良は、その戦歴や政治的な立ち位置から、平家時代における重要な武将の一人とされています。彼の生涯は、政治的な策略や戦闘への関与、さらには誕生から名声、そして衰退へと繋がる運命の深い流れを示しています。彼の存在は歴史の一部として記憶されていますし、今後も研究の対象となることでしょう。

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