田平天主堂

田平天主堂

田平天主堂は、長崎県平戸市田平町小手田免に位置するカトリック長崎教区の教会で、正式名称をカトリック田平教会といいます。地元では瀬戸山天主堂とも呼ばれ、その美しい赤レンガ造りの建物は国の重要文化財に指定されています。

歴史

田平天主堂の歴史は、明治時代にパリ外国宣教会のラゲ神父とド・ロ神父が私費で荒れ地を購入し、そこに黒島や外海地区から移住させた8家族から始まりました。当初は小さな集会所でしたが、1879年に仮聖堂が建てられ、その後信者数の増加に伴い、1914年に中田神父の時に本格的な天主堂の建立が計画されました。1918年、信徒たちが開墾した瀬戸山の地に、教会建築を得意とした鉄川与助の設計・施工により、現在の天主堂が完成しました。献堂式はコンバス司教により執り行われ、日本二十六聖殉教者に捧げられました。建設には総額2万円の費用が投じられました。

戦時中には、天主堂の一部が兵舎として使用され、その結果、米軍の機銃掃射を受けました。その後、2003年に国の重要文化財に指定され、歴史的価値が認められました。

建築

田平天主堂は、鉄川与助による煉瓦造りの集大成とも評され、今村天主堂と並び称される美しい建築物です。正面には会堂から突き出した三層の長方形の塔があり、その上部には八角形のドーム型鐘塔が特徴的です。この形式は、鉄川与助が好んだ日本独特のスタイルとされています。煉瓦はイギリス積みで、交互に色の異なる煉瓦を積むことで、美しい外観を形成しています。

聖堂内部のステンドグラスは、ドイツ人マキシミリアノ・バルトズが2年かけて制作したもので、その美しさは訪れる人々を魅了します。

世界遺産候補から除外

2007年、田平天主堂は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産として世界遺産暫定リストに登録されました。しかし、2014年の推薦の際、イコモスの現地調査で「禁教期を主体にすべき」との指摘を受け、推薦は一旦取り下げられました。田平には隠れキリシタンの歴史がなく、禁教期との関連性が薄いため、世界遺産の候補から除外されることになりました。

アクセスと見学

所在地: 〒859-4824 長崎県平戸市田平町小手田免19番地

交通手段:
松浦鉄道西田平駅から車で約5分
たびら平戸口駅から車で約10分
西肥バス「天主堂前」バス停下車（ただし本数が少ないため注意）

見学時の注意点:
堂内では帽子を脱ぎ、静かにしてください。
堂内の物に触れないでください。
柵の内側や祭壇域には入らないでください。
堂内での飲食、喫煙、飲酒はご遠慮ください。
原則として堂内の写真撮影は禁止されています。
ミサや冠婚葬祭が行われている際は、入堂をご遠慮ください。

周辺情報

長崎県立北松農業高等学校
たびら昆虫自然園
田平公園
平戸大橋

参考文献

井出道雄『西海の天主堂路』新風舎、2006年。ISBN 4289003370。

関連項目

* 長崎の教会群とキリスト教関連遺産

田平天主堂は、その美しい建築と歴史的背景から、多くの人々にとって特別な場所です。訪れる際には、この場所の神聖さを尊重し、静かに見学しましょう。

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