田村神社 (甲賀市)

田村神社について

田村神社（たむらじんじゃ）は、滋賀県甲賀市土山町北土山に位置する由緒ある神社で、旧社格は県社です。境内は第一鳥居から第二鳥居、その後の海道橋まで東海道が参道の一部を使用しています。毎年2月18日を中心に行われる厄除大祭が特に有名で、地域の信仰の対象として多くの人々に親しまれています。

神社の歴史

田村神社の起源は古く、垂仁天皇45年にさかのぼります。この年、甲可翁が天照大神を祀るため、倭姫命を鎮祭し「高座大明神」と称したのがこの神社の始まりとされています。平安時代には、坂上田村麻呂が嵯峨天皇に命じられ、鈴鹿峠の悪鬼を討伐しました。彼は戦いの際、残った矢を放つことで、その矢の落ちた地に自身を祀るよう語り、それが後の本殿の建立に繋がったと伝えられています。

田村麻呂が亡くなった後、彼を祀る祭壇が鈴鹿峠に設けられ、弘仁3年には疫病が広がった地域で厄除けの祈祷が行われました。この出来事から神社は厄除けの神として崇敬されるようになり、彼の功績から交通安全の神としても信仰されるようになりました。

また、弘仁13年に高座大明神の近くに田村麻呂を祀る社が移され、「高座田村大明神」と名付けられました。しかし、重要な勅額が天文の兵火によって焼失するなどの困難がありました。江戸時代に入ると、後水尾天皇から新たな勅額が下賜され、田村神社はさらに信仰を集めました。ここで、田村麻呂の子孫である一関藩主・田村氏からも熱心に崇敬を受けたことが示されています。

近代において、神社の名称は1872年に「高座神社」と改称された後、1887年に「田村神社」と現在の名前に変更されました。この頃、県社としての位置づけも確立されました。重要な文化財となっているのは田村麻呂が所持していた楚葉矢の御剣と矢鏃の三個ですが、現在もその魅力を保ち続けています。

祭神と境内の構成

田村神社の主祭神には坂上田村麻呂公、嵯峨天皇、倭姫命が祀られ、配祀神として稲倉魂命、大己貴命、国狭槌尊、大山咋神、荒魂が含まれています。

境内には本殿、中門、吉崎稲荷社、天満神社、祝谷神社、拝殿、祈祷殿、社務所があり、それぞれの場所で様々な祭事が行われています。毎月18日には月次祭が執り行われ、また1月には歳旦祭、正月大祈祷など特別な祭事があります。特に有名なのは2月に開催される厄除大祭であり、多くの参拝者で賑わいます。

また、6月の夏越大祓祭や7月の万灯祭、さらには11月の新嘗祭といった季節ごとの行事も地域の人々にとって大切なイベントです。特に七五三や年越し大祓祭も訪れる人々にとって特別な意味を持つ祭りです。

名所とアクセス

境内には風情ある厄落し太鼓橋や矢竹、海道橋などの名所もあります。海道橋は1775年から1939年まで東海道が通っていた場所で、歌川広重の浮世絵に描かれるなど文化的な意味も持っています。

アクセスは、田村神社前バス停から徒歩すぐの場所にあり、甲賀市のコミュニティバスを利用することでアクセス可能です。自家用車では国道1号線沿いに位置し、駐車場も完備されています。道を挟んで道の駅あいの土山も近く、観光の拠点として便利です。

田村神社は歴史的背景や地域に根ざした信仰、魅力的な祭事や名所が豊富で、訪れる価値のある神社です。

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