田部正壮

田部正壮

田部正壮（たなべ まさたけ、1849年12月21日 - 1939年9月21日）は、日本の陸軍軍人であり、最終階級は陸軍中将。また、第12代広島市長を務めた人物です。彼は激動の時代を生き抜き、軍人として、また地方自治の長として、その生涯を社会に貢献しました。

生涯

田部は嘉永2年（1849年）に安芸国（現在の広島県）に、田部友蔵の長男として生まれました。維新後の身分は広島県士族です。

明治元年（1868年）には、戊辰戦争に芸藩の一兵卒として東征軍に参加し、そのキャリアをスタートさせました。明治5年（1872年）には、陸軍歩兵少尉心得に任ぜられ、軍人としての道を歩み始めます。西南戦争では教導団を率い、その後、近衛歩兵第4連隊第1大隊長、近衛副官を歴任。日清戦争時には近衛師団兵站官を務め、その後、台湾総督府副官に転じました。

明治29年（1896年）9月25日には歩兵第2連隊長に歩兵中佐で任命され、翌年10月11日には歩兵大佐に昇進。明治36年（1903年）7月2日には少将に進みました。日露戦争では、第8師団隷下の歩兵第16旅団長として黒溝台会戦に参戦。その後、第3師団に属し歩兵第5旅団長として奉天会戦にも参加し、その武勇を示しました。明治40年（1907年）11月7日には中将に補せられ、同時に後備役へ編入となりました。

大正6年（1917年）10月8日から大正10年（1921年）10月7日までの間、広島市長を務め、地方自治に貢献しました。

人物像

田部は多趣味な人物としても知られています。漢詩、和歌、俳句といった文芸から、彫刻、陶器、絵画といった芸術まで、幅広い分野に造詣が深く、豊かな感性を持っていたことが伺えます。当時の住所は広島県広島市字段原村でした。

栄典

その功績により、数々の栄典を授与されています。

1885年（明治18年）10月31日 - 従六位
1892年（明治25年）3月11日 - 正六位
1902年（明治35年）10月20日 - 正五位
1907年（明治40年）11月7日 - 従四位
1939年（昭和14年）9月21日 - 正四位

勲章等

1889年（明治22年）11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章
1896年（明治29年）4月11日 - 功四級金鵄勲章・勲三等瑞宝章
1905年（明治38年）11月30日 - 勲二等瑞宝章
1906年（明治39年）4月1日 - 功三級金鵄勲章、旭日重光章、明治三十七八年従軍記章

家族

田部家は、祖先の田部正光が浅野家に仕えたことに始まります。以来、代々藩士を務めました。父の友蔵は藩命により砲術火薬の製造に従事しました。

家族構成は以下の通りです。

父：友蔵（広島県士族）
妹：つね、とも（坪井常太郎の妻）
妻：とら（成川峰之進の妹）
* 子：章一、浩（医学博士、病理学者、岡山大学教授）、馨、威、實、修、豊、辰、かう、喜代子

このように、田部正壮は、軍人として、また広島市長として、激動の時代を生き、多方面で活躍した人物でした。彼の生涯は、日本の近代史を語る上で欠かせないものと言えるでしょう。

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