甲良宗広

甲良宗広の生涯と業績

甲良宗広（こうら むねひろ）は、1574年に近江国犬上郡甲良庄法養寺村で生まれた大工棟梁および建築家です。幼名を小左衛門とし、彼の家系は建仁寺流の工匠として知られ、父は甲良小左衛門尉氏広、祖父は名工の甲良左衛門尉光広でした。宗広は、幼少期からその才能を発揮し、近世日本の建築技術に大きな影響を与えました。

幼少期と経歴の初期

宗広は、彼の祖先が建物の設計と施工を専門としていたことから、早くから建築の技術を学びました。父の影響を受け、彼は建築に対する深い理解と技術を身に付けました。1596年には、近衛家の門の造営で功績を認められ、従六位左衛門尉の位を授かりました。さらに同年、吉田神社の造営にも携わり、その後の建築活動へとつながります。

徳川家康との関わりと後の業績

慶長元年の慶長大地震後には伏見城の修復に着手し、徳川家康に拝謁されました。以降、宗広は江戸幕府の重役としてさまざまな建築事業に携わります。特に、江戸に下った後は御作事掛大工方を担い、1646年まで幕府の建築に貢献しました。

寛永9年、宗広は新たに設立された作事奉行の大棟梁に就任し、建築におけるその地位を確立しました。

名作とその影響

宗広が手掛けた建築物の中でも特に有名なのは、日光東照宮の造替です。これは、寛永13年（1636年）に行われたもので、秋元泰朝を総奉行とし、宗広自身もその工事を取り仕切りました。この時、宗広は自身の子息宗次とともに多くの技術者を率いています。日光東照宮は、色彩豊かで彫刻がふんだんに施されており、建築史においても特筆されるべき作品です。

また、彼の技術は上野寛永寺の五重塔や、芝増上寺台徳院霊廟など、数多くの名作に見ることができます。これらの作品は、神社建築のスタイルや技術に大きな影響を与えました。

晩年と死去

宗広は、寛永13年の特筆すべき仕事を通じて隠居し、以後は道賢と名乗るようになりましたが、寛永17年に子息宗次が急死した後は、若い孫宗賢の後見をしながら、故郷近江へと戻りました。最終的に1646年に死去しましたが、彼の家系は明治維新にかけて大工棟梁としての役目を担い続けました。

主な作品

主な業績には以下が含まれます：

• - 近衛関白邸の門扉彫物
• - 吉田神社の造営
• - 伏見城の改修
• - 江戸城天守の造営
• - 日光東照宮の大造替
• - 上野寛永寺の五重塔造営

甲良宗広に関する参考資料

• - 「甲良豊後守宗広」（甲良町教育委員会編 1993年）
• - 「滋賀県犬上郡郷土史読本」（犬上郡教育会編 1939年）
• - 「甲良の歴史」（甲良町 1965年）

宗広の業績や影響は、これからも多くの人々に受け継がれていくことでしょう。

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