男性不妊症

男性不妊症：原因、症状、検査、治療法を徹底解説

男性不妊症は、男性側に原因があり妊娠に至らない状態を指します。かつては女性側の問題と捉えられる傾向がありましたが、近年は男性不妊が不妊原因全体の約40％を占めることが明らかになり、男女共に原因を追求することが重要視されています。

男性不妊症の原因

男性不妊症の原因は多岐にわたり、大きく分けて以下の4つの病態に分類されます。

1. 造精機能障害（精子形成障害）: 精子の生成能力が低下または消失している状態です。全体の90％以上を占め、特発性（原因不明）のものが多く見られます。具体的な原因としては、精索静脈瘤による精巣温度上昇、停留精巣、感染症（おたふく風邪など）、遺伝的疾患（クラインフェルター症候群など）、薬剤や環境ホルモンの影響などが挙げられます。

2. 精路通過障害: 精子が精巣から尿道に至る経路に何らかの障害があり、正常な射精が妨げられる状態です。先天的な精管欠損や後天的な外傷、炎症などが原因となります。

3. 副性器障害: 前立腺炎などの副性器の炎症が原因となるケースもあります。

4. 性機能障害: 勃起不全など、性行為や射精が困難な状態です。真性包茎などが原因となる場合があります。ただし、性行為自体が不能な状態は、厳密には男性不妊症には含まれません。

男性不妊症の症状

症状は、精液検査の結果によって判断されます。主な症状には以下のようなものがあります。

乏精子症: 精子濃度が2000万/ml以下。
精子無力症: 精子運動率が低い。
無精子症: 精液中に精子が全く存在しない。閉塞性無精子症（精子は作られるが排出されない）と非閉塞性無精子症（精子が作られない）があります。
奇形精子症: 奇形精子の割合が高い。
膿精液症: 精液中に白血球が多い。炎症が疑われます。
精子死滅症: 射精された精子が全て死んでいる。

男性不妊症の検査

診断には以下の検査が行われます。

問診: 職業、既往歴、家族歴、性生活などについて詳しく問診します。
視診・触診: 精巣の大きさ、硬さ、二次性徴の発現状態などを確認します。
精液検査: 精液量、精子濃度、運動率、形態などを調べます。WHO基準に基づいて評価されます。
ホルモン検査: 性ホルモンの分泌状態を調べます。
尿検査: 糖尿病や腎臓病の有無を調べます。
超音波検査: 精巣や精索静脈瘤の有無を確認します。
抗精子抗体検査: 自己免疫疾患の有無を調べます。

男性不妊症の治療

治療法は原因や症状によって異なります。

手術: 精索静脈瘤手術、停留精巣手術、精管再建術など。閉塞性無精子症など、解剖学的な問題がある場合に有効です。
精巣内精子採取術 (TESE): 手術で精子を直接採取し、顕微授精を行う方法。精子形成が困難な場合に用いられます。いくつかの採取方法があり、患者の状態に合わせて最適な方法が選択されます。
薬物療法: ホルモン療法、抗酸化剤、漢方薬など。造精機能の改善を目的とします。ただし、テストステロンなどの男性ホルモン補充療法は、精子生成を抑制する可能性があるため、慎重に検討されます。
人工授精: 精子を直接子宮内に注入する方法。
体外受精: 卵子と精子を体外で受精させ、胚を子宮に戻す方法。
顕微授精: 卵子に直接精子を注入する方法。

男性不妊症に関する注意点

治療には時間がかかる場合があり、高額な費用がかかる可能性があります。
専門医による適切な診断と治療が重要です。
夫婦で協力して治療に取り組むことが大切です。

男性不妊症は決して一人だけで抱え込む問題ではありません。専門医に相談し、適切な検査と治療を受けることで、妊娠の可能性を高めることができます。早期発見と適切な治療によって、多くの男性が父親になる夢を実現しています。

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