画用紙

画用紙とは

画用紙とは、図画を描く際に支持体として使用される、厚手の洋紙のことです。一般的には白色の無地が用いられますが、着色された色画用紙も存在し、工作や手芸の材料としても利用されています。

歴史

画用紙の歴史は古く、18世紀末にはヨーロッパで「drawing paper」という言葉が文献に登場しますが、それ以前から紙は図画に用いられていました。中国からヨーロッパへ製紙技術が伝わった11世紀頃から、羊皮紙に比べて水との相性が良い紙は、淡彩のような絵画技法の発展に貢献しました。

画用紙を含む洋紙の製法は、13世紀のイタリア・ファブリアーノでの膠サイズの発明、18世紀のイギリス・ジェームス・ワットマンによる均質な網目紙の発明、そして19世紀の抄紙機や木材パルプの導入、ロジンサイズによる量産化、20世紀の中性サイズによる中性紙化といった技術革新を経て、現在の形へと進化しました。しかし、高級な画用紙では、現在でも伝統的な製法が用いられることがあります。

日本における洋紙の国産化は明治時代以降ですが、それ以前にも和紙が海外へ輸出され、レンブラントのような画家が版画用紙として使用していました。

色画用紙の歴史も古く、15世紀頃には図画に使用されていました。特に、ヴェネツィアでは、原料のぼろに含まれるインディゴ色素を利用した青色の紙（carta azzurra）が製造され、ヴェネツィア派の画家やアルブレヒト・デューラーらがキアロスクーロ素描に用いました。また、黄色や灰色がかった紙も存在し、パステル画家やターナーのような水彩画家が使用していました。現代の色画用紙に近いものが作られるようになったのは、合成染料が発明された19世紀以降であり、フリードリヒ・フレーベルが提唱した幼稚園教育の普及に伴い、教材として安価な機械パルプ製の色画用紙が製造されるようになりました。

特徴

良質な画用紙は、化学パルプの比率が高く、中性紙として経年保存性に配慮して作られます。印刷用紙とは異なり、平滑性よりも適度な紙肌の凹凸が重視され、消しゴムでの修正や水性画材への耐性が求められます。

鉛筆デッサンに適した一般的な画用紙は、画学紙とも呼ばれます。海外には、カートリッジ紙という類似の紙種があります。また、平滑な画用紙であるケント紙は、製図やイラストレーション、名刺などに使用され、硬筆やインクとの相性が良く、にじみにくさと吸収性を兼ね備えています。

水彩画に適した水彩紙は、厚みがあり、にじみ止めであるサイズ処理が施されています。様々な紙肌のものが存在し、粗い紙肌ほど吸収性が高いです。高級品には、コットン繊維が用いられ、伝統的な製法に従い、膠による表面サイズが施されます。

木炭画に適した木炭紙は、簀の目の透かし地合を持ち、表面が粗く、強靭で軽量に作られています。パステル画に適したパステル紙には、布目状の紙肌を持つものや、砂などで研磨性を高めた専用紙があります。

形状

画用紙は、スケッチブックやシート、ロールなど様々な形状で市販されています。スケッチブックには、スパイラルリング綴じや天糊綴じのものが存在し、水彩画用には四方を糊で固めたものがあります。また、紙を板紙に張り付けたイラストレーションボードも存在します。

紙のサイズは、印刷用紙と共通のものや、キャンバスに準拠したものなど、様々なものが存在します。紙の厚さは、メートル坪量（g/m2）や連量（kg）で示されます。

適する画材

画用紙は、鉛筆、色鉛筆、木炭、コンテ、パステル、クレヨンなどの固形描画材や、ペン、墨などのインク類、水彩絵具、アクリル絵具などの水性絵具に適しています。油絵具は紙繊維を劣化させる可能性があるため、直接の使用は推奨されませんが、下地処理を施すことで使用可能です。

一般の画用紙は、水彩紙に比べて水分に弱いため、水張りをして変形を抑えることがあります。

主な画用紙の種類

画学紙: 鉛筆デッサンなど、一般的な描画に適した画用紙。
ケント紙: 平滑で、製図やイラストレーションに適した画用紙。
水彩紙: 水彩画に適した、厚みがあり、サイズ処理が施された画用紙。
木炭紙: 木炭画に適した、簀の目模様のある、表面が粗い画用紙。
パステル紙: パステル画に適した、布目状の紙肌を持つ画用紙や、研磨加工を施した専用紙。
色画用紙: 着色された画用紙で、工作や手芸にも利用される。

これらの画用紙は、それぞれの用途に応じて使い分けることで、より豊かな表現が可能になります。

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