留守官

留守官（りゅうしゅかん）

留守官とは、東アジア特に日本と中国において、皇帝が京師（皇都）を離れる際に、その代理として国政を担う官職や機関を指します。この制度は、皇帝不在時の政務を円滑に行うために設けられました。

概要

より具体的には、皇帝が常住する皇都を離れた際、陪都に留まって皇帝の役割を果たすために設置されたのが留守官です。この役職に任命されるのは通常、皇帝の信頼を受けた重臣です。ただし、太子がその代理を務める場合は「太子監国」と呼ばれ、留守官とは区別されます。

日本における留守官の歴史

古代日本では、桓武天皇の時代（793年）まで複都制が敷かれており、様々な都市がともに政の中心となっていました。天智天皇が近江大津宮に移った際には、飛鳥に留守官が設置されたことが記録されています。

1868年に江戸が東京と改称される頃、新政府は明治天皇の東京滞在に伴い、留守官の設置について一時的に考慮しましたが、実際の設置は行われませんでした。しかし、東京に活動の拠点を移した後、京都には留守官が設けられ、その役割は太政官の京都支部として尊攘派や東京奠都に反対する勢力を監視することが求められました。

1871年に留守官は廃止されますが、その背景には新政府の官庁移転とともに留守官の権限が次第に低下したことがありました。京都の留守官が廃止されることで、事実上東京へ首都機能の移転が完了したと言えるでしょう。蓋を開けてみると、留守官の役割は新しい政治状況への適応と共に、次第に変質していきました。この動きは明治新政府による東京誘致の一環であり、その後もさまざまな力が絡み合った状況が続きました。

留守官の長官には鷹司輔熙が、次官には岩下方平と烏丸光徳が任じられました。しかし、激しい政治闘争の中で、長官は中御門経之に変わり、彼の忠実な支持者たちが重要なポジションを占めることになります。留守官の役割には、公共の治安維持や宗教施設の監督も含まれ、社会の安定を図る重責を担っていました。

1883年、岩倉具視は京都に留守官を復活させる提案を行いますが、これは実現せずに終わります。さらに1886年には「京都支庁」が設置され、旧公家たちが任用されましたが、これも早々に廃止されました。

中国における留守官の役割

中国においても、皇帝や君主が都を離れる際には、太子や大臣が留守を務めていました。隋の煬帝の時代には、「留守」と「副留守」という名称が初めて使用され、唐の時代にはさらに制度化されました。また、北宋や南宋、清代にもそれぞれの留守官が存在し、特に戦時や外出時には重要な役割を果たしました。

まとめ

留守官は、国の統治や安定に重要な機能を持つ役職として歴史に存在してきました。日本や中国におけるその役割は、政治的な変遷に伴い浮き彫りにされ、特に明治の段階で顕著に変化が見られました。このように、留守官という役職は、ただ一時の代理ではなく、国の在り方に深い影響を与える存在でした。

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