畠山政長

畠山政長：応仁の乱の引き金となった武将

畠山政長は、室町時代後期から戦国時代前期にかけての武将・守護大名であり、室町幕府の管領を務めました。足利氏の一門である畠山氏の一員として、河内・紀伊・越中・山城の守護を歴任し、応仁の乱を引き起こした人物として歴史に名を刻んでいます。

生涯と家督争い

畠山政長は、畠山持富の次男として生まれました。当初、父・持富は兄である畠山持国の後継者となる予定でしたが、持国が庶子の義就を跡継ぎにしようとしたため、畠山家中で内紛が発生します。持富の死後、政長の兄・弥三郎が義就と争いますが、弥三郎も間もなく死去。その後、政長は遊佐長直らの支持を受け、義就との激しい家督争いを繰り広げることになります。

1460年、足利義政の命により義就が失脚すると、政長は幕府に帰参し、義政から偏諱を受けて「政長」と名乗ります。その後、義就が籠城する河内嶽山城を包囲・陥落させるなど、義就追討に功績を挙げました。1464年には、細川勝元（妻の従兄弟にあたる）の後任として管領に就任し、奥州探題大崎教兼の関東出陣を命令したり、伊予国人河野通春討伐を大内教弘に命じたりしています。

応仁の乱勃発

1465年、吉野に逃れていた畠山義就が奈良盆地に進出。幕府が混乱していたこともあり、義就討伐軍を出すことができませんでした。その後、細川氏と山名氏の対立が激化し、山名宗全が義就を味方に引き入れたことで、事態はさらに悪化します。1466年、義就は河内国に侵攻し、政長方の軍を破り、翌年には将軍・義政が義就の赦免を決定。これにより、政長は管領を解任され、義就が越中国、河内国、紀伊国の守護に任じられました。

追い込まれた政長は、1467年、京都の自邸に火を放ち、上御霊神社に立てこもります。翌日、義就勢との間で戦闘が勃発し、政長は摂津国に敗走。この争いが、足利将軍家や斯波氏の争いと複雑に絡み合い、応仁の乱へと発展していきました。

大乱中の活動と最期

応仁の乱勃発後、政長は細川勝元の庇護を受け、東軍に属して西軍と戦います。しかし、自身はあまり出陣せず、河内・紀伊は政長方が奪還、大和国人らが西軍の攻撃を防ぎました。一方、義就は山城西部を制圧したり、河内・摂津に進軍したりしましたが、領地を奪取するには至りませんでした。

1473年に宗全・勝元が死去、義政が隠居すると、政長は再び管領に就任しますが、実権はありませんでした。河内・大和では、政長と義就それぞれの派閥に分かれた国人たちが争いを続け、1477年には義就が河内を奪取。政長は領国奪還のため、義就討伐に執念を燃やすようになります。

1493年、将軍・足利義材が畠山基家（義就の子）征討の軍を起こすと、政長は嫡子・尚順らと共に従軍しますが、その最中に細川政元がクーデターを起こし、義材を幽閉。政長討伐令を発令します。正覚寺城に立てこもった政長は、援軍が来ないことを悟り、尚順を逃がした後、自害しました。

死後

政長の死後、義材は脱出して越中公方となり、尚順も紀伊国で挙兵して基家・政元と戦うことになります。政長の死は、応仁の乱後の混乱をさらに深める一因となりました。

畠山政長は、応仁の乱という大きな戦乱を引き起こした人物として、その名は歴史に刻まれています。家督争いから始まった政長の行動は、室町幕府の衰退を加速させ、戦国時代の幕開けを告げるものとなりました。

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