異型担子菌綱

異型担子菌綱の概要


異型担子菌綱(いけいたんしきんこう、学名: Heterobasidiomycetes)は、担子菌門菌蕈亜門に属する菌類の一群です。このグループは、従来の分類では側系統群と見なされており、特有の形状や性質を持つことが特長です。主にゼリー状のキノコを形成するため、膠質菌とも呼ばれています。

特徴


異型担子菌綱に属する生物たちの子実体は、一般的なキノコのような形ではなく、状やひだ状の形をしています。また、その清潔感ある肉質は、一般的にはゼリー状または膠状です。分を保持すれば柔らかくなり、乾燥させると堅くなり、しわが寄る特性も持ち合わせています。

このグループの重要な特徴は、他のハラタケ類との担子器の構造の違いです。ハラタケ類の担子器では、細胞内で二核の融合が生じ、減数分裂を経て胞子が生成されますが、異型担子菌綱の担子器では、長い柄の先端に胞子を形成します。さらに、担子器に隔壁を持つものも多く、サビキン類やクロボキン類との類似性も見られます。また、シロキクラゲなどは胞子酵母として機能することもあります。

これまでの研究によると、異型担子菌綱は古代の担子菌類またはサビキン類とのつながりがあると見なされてきましたが、分子系統解析によれば、ハラタケ類との距離は意外にも近いことがわかってきています。

利用


この一群のいくつかの種は生で食べられるのが特徴で、を持たないキクラゲ類が多いと言われています。ただし、非常に美味しいとは限らないものが多く、特にシロキクラゲのような種はスープサラダの具材として用いられ、中国では健康や長寿の象徴としても特別に扱われてきました。これらの中には商業的に栽培されている種も存在します。

属する菌の例


以下は、異型担子菌綱に含まれる代表的な菌類の一部です。
  • - キクラゲ(Auricularia auricula)
  • - アラゲキクラゲ(Auricularia polytricha)
  • - ツノフノリタケ(Calocera cornea)
  • - ニカワホウキタケ(Calocera viscosa)
  • - ハナビラダクリオキン(Dacrymyces palmatus)
  • - シロキクラゲ(Tremella fuciformis)
  • - コガネニカワタケ(Tremella mesenterica)

分子系統学の進展


分子系統学の研究が進むにつれ、この綱の分類は大きく見直されました。異型担子菌綱は、具体的にはハラタケ亜門の中で再構成され、シロキクラゲ目は独立したシロキクラゲ綱、キクラゲ目はハラタケ綱、アカキクラゲ目はアカキクラゲ綱として再分類されています。このように、分子解析の成果によって従来の理解が更新されているのです。

関連項目


異型担子菌綱は、他の菌類と同様に多様な生態系を形成しており、特にキノコ全般やハラタケ亜門との関連についての研究が進められています。今後の研究によって、これらの菌類についての理解がさらに深まることが期待されます。

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